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自然というのは、海や川、山、森、動物のような人のまわりにあるものをいいますが、私たち人間は、自然からたくさんのめぐみを受け取っています。
私たちがいつも口にするおいしい食べ物やきれいな飲み水、いつもすっている空気だって、自然がなければ手に入らないものです。
そんな大事な自然ですが、一度こわれてしまうと、たくさんの時間とお金をかけても元に戻(もど)すことはできません。そのため、自然をこわさないように上手に利用することがとても大事です。
自然のめぐみ(出典(しゅってん):環境省(かんきょうしょう)こども環境白書(かんきょうはくしょ)2012)
自然には、多くの生き物がすんでいます。
人間もその一部ですが、自然の中の生き物は、それぞれに食べたり食べられたり、利用しあったりというつながりがあって、バランスを取りながら生きています。
たとえば、林の中には、植物の葉を食べる動物(虫など)がいます。その虫は小さな鳥に食べられますが、小さな鳥はもっと大きな鳥(タカなど)に食べられます。大きな鳥が死んだあとの体は、地中で微生物(びせいぶつ)やミミズに分解(ぶんかい)され、土の養分(ようぶん)になります。その養分と光と水で、植物が育つというつながりがあります。
この生き物同士(どうし)のつながりを、「生態系」といいます。
水戸市には、川や池、里山(さとやま)などたくさんの自然があります。また中心部にも、千波湖(せんばこ)など多くの自然が残(のこ)っていることは、水戸市のよいところだといわれています。
ここでは、水戸市にどんな自然があるか紹介(しょうかい)します。
里山とは、雑木林(ぞうきばやし)や谷津田(やつだ)、ため池などの自然が豊富(ほうふ)に残された場所です。
この里山は、いろいろな自然がつながっているので、生き物にとっては季節(きせつ)によってすむ場所を変えられる居心地(いごこち)のよい空間(くうかん)なのです。
水戸市の里山としては、森林公園(しんりんこうえん)の周辺(しゅうへん)などがよく知られています。
里山では、まちなかでは見られなくなった野生の生き物をたくさん見ることができます。
チョウやトンボ、バッタなどの昆虫(こんちゅう)はもちろん、タヌキやイノシシなどの哺乳類(ほにゅうるい)、オオタカやフクロウなどの鳥もみられます。中にはオオムラサキ(チョウ)やトウキョウサンショウウオ(両生類(りょうせいるい))など全国でも数が少なくなっている動物も見られる場所もあって、自然の豊(ゆた)かさがわかります。
植物では、コナラやスギ、ヒノキ、シイなどが林をつくっていて、林の下にも多くの植物が生きています。
※貴重(きちょう)な植物となっているカタクリやヒメザゼンソウなども、市内の里山には生息(せいそく)しています。
水戸市の自然というと、川を思いうかべる人も多いと思います。
水戸市には、合計27の川が流れていて、水に恵(めぐ)まれた土地だといわれていて、水戸という名前も、昔の言葉で水の出口を指す「みと(みなと)」に由来(ゆらい)するといわれています。
水戸と川は、昔から深(ふか)くつながっていたんですね。
下の図は、水戸市の川の場所を示したものです。
図2 水戸市の川
自分の家の近くを流れている川の名前がわかりますか?
川にはたくさんの生き物がすんでいて、市内の川のうち、水のきれいな上流(じょうりゅう)や中流(ちゅうりゅう)では、オイカワやアユなどの魚がみられます。一方、下流(かりゅう)ではコイ、フナなどがみられます。
那珂川(なかがわ)はサケがのぼってくる川として有名ですが、那珂川につながっている桜川(さくらがわ)にもサケがのぼってくるようになりました。
水戸市では毎年、小学校5年生向けに、「水戸の川」という本をつくっていて、どの川でどんな魚がみられるかものせています。ぜひ読んでみてください。
魚のほかにも、川の底(そこ)には水生昆虫(すいせいこんちゅう)などがすんでいます。すんでいる生き物の種類(しゅるい)によっては、川が汚(よご)れているかどうかを調(しら)べることができるんです。こういった生き物を指標生物(しひょうせいぶつ)といいます。
上で紹介した生き物以外(いがい)にも、水戸にはいろいろな生き物がすんでいます。
今、自然は、たくさんの問題をかかえていますが、そのほとんどは人間に原因(げんいん)があります。
気温が変化して生き物がすみにくくなる「地球温暖化(ちきゅうおんだんか)」や、今まですんでいなかった生き物(外来生物(がいらいせいぶつ))、生き物がすむ場所をこわしてしまう「開発(かいはつ)」などにより、自然のバランスがくずれそうになっています。
自然を守るというとすごく大変なことのように思えますが、身近(みぢか)なちょっとしたことからはじめることができます。
みんなが自然のことをもっと勉強したいと思った時に、役立つページを紹介します。
国の機関(きかん)である環境省が、こどものためにつくったページです。
環境問題(かんきょうもんだい)をわかりやすく解説(かいせつ)した「こども環境白書(かんきょうはくしょ)」を読むことができます。
3歳(さい)から18歳までのこどもであれば参加することができる、環境活動・環境学習(かんきょうがくしゅう)のためのクラブです。
すでに活動しているクラブに入ったり、友だちやサポーターの大人を集めて新しいクラブとして登録(とうろく)することで、こどもエコクラブとして活動することができます。
水戸市には3つのクラブがあり、90人以上(いじょう)が活動しています。
水戸市と茨城県環境管理協会(いばらきけんかんきょうかんりきょうかい)の協働(きょうどう)で、環境学習事業(かんきょうがくしゅうじぎょう)である「千波湖環境学習会」を行っています。
千波湖環境学習会は、千波湖の自然などを広く学ぶことができます。