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市民活動団体のアイデアを生かし、市と協働して事業に取組む「わくわくプロジェクト」において、令和7年度に実施する協働事業8件の提案がありました。
令和7年2月26日、提案団体と市の担当課による提案事業についてのプレゼンテーションが行われました。
それぞれの事業について、各団体の代表者や学識経験者、公募で選ばれた市民の皆さんで構成する水戸市協働推進委員会が審査を行い、答申として意見をまとめました。
日時:令和7年2月26日(水曜日)午後1時30分から
場所:水戸市役所本庁舎4階 中会議室
会議録はこちらをご覧ください。
提案事業名 | 提案団体 | 市担当課 |
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ドライバーサポートフィットネス「ドラサポ」 |
特定非営利活動法人 |
高齢福祉課 |
しもいち実証実験教室 |
さとととし |
都市計画課 |
空き家に関するワンストップ総合相談窓口事業 |
特定非営利活動法人 |
生活安全課 |
ふるさと教育「御老公と行く!私たちの水戸」 |
一般社団法人 水戸葵社中 |
生涯学習課 |
若い世代で戦争の紙芝居を伝承しよう |
次世代に伝えたい朗読と紙芝居のオリーブ |
文化交流課 |
地域と動物の共生プロジェクト |
いばらきのシッポの幸せの会 |
動物愛護センター |
次世代継承店舗と学生がつくるまちづくり |
23RDまちづくり株式会社 |
商工課 |
参考書バンク |
茨城高校国際教養コース・これミラ班 |
ごみ減量課 |
公開プレゼンテーションの動画はこちら<外部リンク>
提案団体:特定非営利活動法人ちいきの学校
市の担当課:高齢福祉課
参考資料:ドライバーサポートフィットネス「ドラサポ」 [PDFファイル/4.96MB]
高齢者ドライバーの事故や免許返納問題に加え,新たに75歳以上に設けられた免許更新時の認知機能検査などに不安を抱える方も多い。当事業では,ストレッチ等の運動を通して身体的機能(筋力,反射力,柔軟性)や認知機能の維持を目的に市民の皆様をサポートする。また,講習会修了者へのアフターフォローとして定期的に健康講座などを実施する。
本事業は,高齢者が運転する自動車事故や運転免許証の返納等を理由に移動手段や行動範囲の制約に不安を抱える高齢者に対し,運動を通して,身体的機能や認知機能の維持・向上をサポートすることを目的としており,シニア層の運転に対する不安解消や健康づくりに取り組んでいる。また,講習会受講後,受講者へのアフターフォローにも取り組むこととしており,安心して自動車運転を続けることができる提案であった。
この事業は,社会的ニーズの高い事業であり,水戸市が協働で実施することにより,安心して受講することができる。今後も高齢福祉課と連携し,安心して受講することができる広報などに努めていただきたい。
また,講座を受ける受講者に事故が起こった場合の補償については,十分な対策をしていただきたい。保険の補償内容が十分でない場合は,受講者に予め同意書を記入していただくなど対応を検討していただきたい。
令和7年度が協働事業最終年度となることから,本事業の実施に当たっては,効率的かつ適正な事業運営を図るとともに,本事業をきっかけとし,シニア層の健康維持・増進を図りながら,運転継続をサポートする本事業のさらなる発展を期待する。
提案団体:さとととし
市の担当課:都市計画課
参考資料:しもいち実証実験教室 [PDFファイル/11.04MB]
備前堀とその周辺における景観保全・形成と歴史的資源の活用を軸に,地域住民や市民,来訪者が主体となる交流と実践の場を創出することを目的とする。
「空き家」を拠点とした実証実験を展開し,地域で挑戦したいアイディアを持つ市民を募集する。教室では,下市エリアにまつわる歴史や景観の学びと視察を行い,歴史や景観を守りながら空間を活用する方法を具体化する。最終的に,空き家などを活用し,イベントや1日出店などの実験的プロジェクトを実施する。
本事業は,「下市まち開き400 年」の節目の年に住民参加型の実証実験を通じて地域活性化を促進し,文化や景観を継承しながら,より魅力的で持続可能なまちづくりを目指している。
地域で挑戦したいアイディアを持つ市民を募集し,実際にイベントや,お店を出す試みは興味深い。行政は都市景観重点地区に指定されている備前堀周辺地区の活性化を期待している。
一方で,やってみたい人の募集については,条件を設けずに募集するのではなく,年齢等の基準をある程度設けた方が望ましいと考える。また,実証実験を実施した後の参加者へのサポートについても検討していただきたい。
支出予算について,支出の内容及び目的等について不明な部分も多いため,支出内容を明確にした透明性のある会計処理及び報告を行っていただきたい。イベントケータリングについて,参加者等の飲食が含まれる費用については,補助対象外の経費となるため,支出内容を再度検討していただきたい。
本事業の実施に当たっては,貴団体と市担当課が連携し,双方の強みを最大限に生かしながら,市民参画による魅力的な景観のまちづくりがなされることを期待する。
提案団体:特定非営利活動法人ふるさと空き家相談・サポート
市の担当課:生活安全課
参考資料:空き家に関するワンストップ総合相談窓口事業 [PDFファイル/2.65MB]
関連事業者や専門家と連携した「空き家に関するワンストップ総合相談窓口」を設置し,水戸市内の空き家を現在所有する方,現在所有の住まいが空き家となる可能性がある方及び相続等の理由により,空き家を所有する可能性のある方に対して,適切な助言・提言を行う。また,空き家関連のセミナーや個別相談会を開催する。
空き家所有者の負担軽減を目指し,地域の活性化と地域住民の不安を解消し,誰もが安全に安心して住むことができるまちづくりを目指す。
本事業は,ワンストップの総合相談窓口を設置することによって,適切な助言や提言を行うとともに,空き家の適正管理や利活用に関する支援を行い,複雑化する空き家問題について,空き家所有者等の負担軽減及び地域住民の不安解消等を目的としている。
空き家は所有者にとって切実な問題であり,提案団体と市担当課の強みを生かし,ワンストップ総合相談窓口の円滑な運営に取り組んでいただきたい。また,空き家セミナーなどのオンライン開催や相談者への状況に応じた事前準備の支援にも取り組むこととされており,引き続き所有者の不安を軽減させていただきたい。
一方で,市報への広告宣伝費の割合が高いが,事業実施に当たっては,効果を十分に考慮した上で,事業経費の配分を行っていただきたい。市報は町内会や自治会に加入している世帯に配布されるものであり,町内会や自治会に加入していない世帯への広報についても十分に検討していただきたい。
令和7年度が協働事業最終年度となることから,本事業の実施に当たっては,より効果的な広報や,適正な事業運営に努め,本事業を通して空き家に関する多くの市民の不安を解消し,空き家問題の解決の一翼を担うことを期待する。
提案団体:次世代に伝えたい朗読と紙芝居のオリーブ
市の担当課:文化交流課
参考資料:若い世代で戦争の紙芝居を伝承しよう~デジタル化による新たな紙芝居を創る~ [PDFファイル/8.73MB]
戦後80年を迎えるに当たり,これまで公演を行ってきた「戦争の紙芝居」を学生に聴いてもらい,その内容を一緒に考えながら,プログラミングや音・映像の加工などの役割を担ってもらうことによって,長く残せない紙の資料を半永久的に残せる動画コンテンツ等にデジタル化する。この事業をきっかけとして,若い世代の平和への意識醸成と次世代へ語り継ぐ役割を担ってもらうことを目的とする。
本事業は,戦争や被爆体験の風化が懸念されている中,学生に紙芝居の制作の一端を担ってもらうことによって,市民の平和への意識を醸成し,次世代へ語り継ぐことを目的としている。
水戸市の平和事業において,若い世代の自発的な活動が減少しているため,学生がDVDの制作に主体的に関わり,若い世代に引き継いでいくことは意義深い。
静的なコンテンツよりも動的なコンテンツに興味を持ちやすい若い世代に対して,有効な取組だと思う。単なる動画ではなく,紙芝居の良さを生かした朗読と映像の迫力がある作品にしていただきたい。また,歴史的認識についても十分注意して制作していただきたい。
一方で,審査を行うに当たって,公開プレゼンテーションにおける発表資料の準備不足については,非常に残念に思った。補助金を使用する事業であることを改めて認識し,事業終了後の事業報告の際には,万全な準備をして臨んでいただきたい。
本事業の実施に当たっては,貴団体と市担当課が連携し,デジタル化した「戦争の紙芝居」が市内に広く普及することによって,市民の平和への意識を醸成し,次世代に継承される事業となることを期待する。
提案団体:いばらきのシッポの幸せの会
市の担当課:動物愛護センター
参考資料:地域と動物の共生プロジェクト [PDFファイル/1.79MB]
動物愛護に関する情報を地域全体に分かりやすく伝え,動物と人間が共存できる持続可能な社会を目指し,地域のつながりを深め,草の根レベルでの意識改革を実現し,野良猫等の課題解決を目的とする。
動物飼育マナーや野良猫問題への取組に関するリーフレットを作成し,町内会や自治会の回覧板で配布する。また,動物病院窓口等で動物を飼う上での基本的な知識やマナー等を記載したパンフレットの配布や,動物愛護イベント等でステッカーの配布を行う。
本事業は,動物愛護に関する正しい情報を地域に普及させることによって,動物と人間の双方が暮らしやすいまちづくりを目指す提案であった。
茨城県では,犬猫殺処分ゼロを目指す条例が出されているが,実際に犬や猫を捕獲した人がどのようにすれば良いか分からなくなってしまうケースがあるため,動物愛護に関する適正な情報を市民に周知する必要がある。
実際に,譲渡や去勢手術を実施しなければ,野良猫問題等の犬や猫に関する諸問題の解決は難しいと考える。保護や譲渡,去勢手術を行っている団体と連携しながら動物愛護の啓発に取り組んでいただきたい。
また,啓発活動だけでは事業の効果が実証できないものである。単なる啓発活動で終了するのではなく,数値目標を設定して効果を測定できるようにするため,事前に市担当課と協議し計画を立てた上で事業を実施し,成果を報告していただきたい。
本事業をきっかけとし,これまで普及していなかった地域にも必要な情報が届き,動物愛護に関する市民の意識が向上することで,地域での動物愛護活動を先導するモデルケースとなることを期待する。
提案団体:23RDまちづくり株式会社
市の担当課:商工課
参考資料:次世代継承店舗と学生がつくるまちづくり~起業ゲームから実践へ~ [PDFファイル/2MB]
若い世代の創業機運を醸成するため,ロマンチックゾーン(末広町~袴塚)周辺において,高校生や大学生を対象に,地域と連携した創業体験ができるワークショップを開催する。
ロマンチックゾーン(末広町~袴塚)周辺地域の特色や,学校が集積しているエリアであることを生かし,大学生や高校生などの若い世代と,課題を持つ地域の店舗(次世代継承店舗)が協力してワークショップを開催することで,若い世代のアイデアの地域への取り入れや,創業機運の醸成に取り組み,地域経済の活性化や若者が活躍できる社会の実現を目指す。
本事業は,ロマンチックゾーン周辺の地域経済の衰退や後継者不足の課題解決と同時に,学生や若い世代の創業機運を高めることを目指す提案であった。
茨城大学や常磐大学,文化デザイナー学院の3校の学生を中心とする若い世代がまちづくりに参加し,そのアイデアを取り入れることによって商店街の活性化が期待される取組であり,ワークショップを通してどのようなアイデアが生まれるのか興味深い。ポップアップ店舗の成果についても十分に分析し,まちづくりの施策に生かせるようにしていただきたい。また,保和苑のあじさいまつりや,周辺で開催されるイベントとコラボレーションを図り,ロマンチックゾーンを盛り上げていただきたい。
一方で,提案団体が既に実施しているリノベ塾というワークショップについて,リノベ塾の参加者が本事業に参加することは問題ないが,本事業の参加者が,リノベ塾の参加を強要されることがないように区別していただきたい。
本事業を通して,若い世代が活躍し,ロマンチックゾーンの活性化を図るだけでなく,市担当課と協力し,地元住民や商店会の声を反映させることで魅力的なまちづくりに寄与することを期待する。
提案団体:茨城高校国際教養コース・これミラ班
市の担当課:ごみ減量課
参考資料:参考書バンク [PDFファイル/1.22MB]
受験や試験後に高校生や中学生によって廃棄されてしまう参考書の数を減らし,廃棄削減に貢献することを目的として,参考書を中心としたリユース事業を実施する。
アンケート調査により必要とされる参考書の具体数を把握し,デジタル技術や学生のネットワークを生かした広報活動を行う。また,既存イベントへのブース出店や公共施設において参考書の譲渡会を実施する。
本事業は,参考書の廃棄削減や多様な人々への教育の機会の提供を行うことでSDGsの目標である「4 質の高い教育をみんなに」及び「12 つくる責任,つかう責任」の達成に寄与することを目指す提案であった。
SDGsが提唱される現代において意義深い提案である。実際に参考書が欲しいと思っている人は声に出すことができない状況があるため,教育の機会の提供は重要であり,譲渡会に合わせたSDGsセミナーの実施についても期待したい。
回収ボックスの設置については,市役所と図書館の2か所だけでなく,学生ならではの視点を生かし,市内の学校に協議の上,学校への設置も検討していただきたい。
また,参考書の回収は学生にとって負担が大きいため,教職員などに相談し,周囲の協力を得ながら,安全かつ負担のないように行っていただきたい。
茨城高校国際教養コース・これミラ班は学生が主体であり,最長でも3年間で卒業してしまうことから,事業の継続性が課題となる。今回の事業の成果を検証し,市担当課や教職員と連携を図り,後輩に引き継ぐなどの手段を検討することで事業を継続していただきたい。
本事業をきっかけとし,参考書のリユースが市内に浸透し,教育機会の充実や持続可能な社会の実現に寄与することを期待する。
事業の実施期間は、令和7年4月から令和8年3月までの予定です。
提案団体と市の担当課が、パートナーとして事業に取り組みます。
市民提案による協働事業にどうぞご期待ください!