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主にエンテロウイルスやコクサッキーウイルスに感染することで、口の中や手足などに水ぶくれのような発疹ができる感染症です。
4歳くらいまでの子どもを中心に、例年、夏に発生し7月下旬に流行のピークがみられます。発症は2歳以下が半数を占めますが、小学生でも流行がみられることがあります。小学生以上の大半は、すでにウイルスの感染を受けている場合が多いため、大人での発症はあまり多くありません。
主な感染経路は、飛沫感染と接触感染です。
また、便と一緒に排泄されたウイルスが口に入って感染することもあります。
口の中や手のひら、足の裏、足の甲などに2mmから3mm程度の水ぶくれのような発疹が現れます。発熱がみられることもありますが、高熱になることはあまりありません。
潜伏期間は3日から5日とされており、一般的に症状は軽症で、3日から7日で治まりますが、稀に髄膜炎や脳炎、心筋炎などの重篤な合併症を起こすことがあります。また、1か月以内に手足の爪がはがれる場合がありますが、すぐに新しい爪が生えてきます。
特別な治療法はなく、基本的には軽い症状の病気であることから、経過観察を含め、症状に応じた治療が行われます。
しかし、稀に重篤な合併症が起こる場合があるため、経過観察をしっかりと行い、下記の症状がみられた場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。
早い回復につながるよう、安静にして過ごしましょう。
口の中にできる水ぶくれや、水ぶくれがやぶれた後の痛みで、食事や水分をとりづらくなることがあります。食事は柔らかく薄味のものにするなどの工夫をし、脱水症状を起こさないよう、こまめな水分補給を心がけましょう。
有効なワクチンはなく、予防には換気や手洗い、咳エチケットといった基本的な感染対策が有効です。
特に、手足口病の原因となるウイルスはアルコールが効きにくいため、感染対策のためには石けんと流水による手洗いが重要です。感染している間や、治った後しばらくの間は、便の中にもウイルスが排出されるため、トイレやおむつ交換の後の手洗いも徹底しましょう。
基本的な感染対策については、下記のバナーからご確認ください。
また、接触感染を防ぐため、むやみに目や鼻、口を触らない、感染している方とのタオルや食器などの共用をしないといった感染対策も有効です。
流行時には、子どもが日常的に触れるおもちゃや手すりなどは、こまめに塩素系消毒剤を使用して消毒しましょう。消毒に用いる次亜塩素酸ナトリウム希釈液の作り方などについては、下記のページをご覧ください。
感染症法では、五類感染症(定点把握対象)に定められており、定点医療機関は毎週患者数を報告することになっています。