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感染性胃腸炎とは、細菌によって起こる細菌性胃腸炎、ウイルスよって起こるウイルス性胃腸炎など、様々な原因によって引き起こされる胃腸炎の総称です。
ウイルスによる胃腸炎は、特にノロウイルスによるものが多く、毎年秋から冬にかけて流行しますが、1年を通じて十分な注意が必要な疾患です。
分類 | 代表的な例 |
---|---|
細菌性胃腸炎 |
カンピロバクター、サルモネラ、病原性大腸菌 など |
ウイルス性胃腸炎 |
ノロウイルス、ロタウイルス、サポウイルス、アデノウイルス など |
主な感染経路は、感染した人が調理などをして汚染された食品を食べることで感染する経口感染と、病原体が付着した手で口に触れることにより感染する接触感染です。
これらのほかに、病原体に汚染された加熱不十分な二枚貝や肉、卵などを食べることで感染することや、病原体を保有している動物と接触することで感染することもあります。
また、ノロウイルスの場合、おう吐物が床に飛散した際などにウイルスが周囲に飛散し、そのウイルスを他の人が吸い込むことで感染することがあります。また、便やおう吐物が乾燥し、付着したほこりとともにウイルスが空気中を漂い、それを吸い込むことで感染することもあります。
ノロウイルスによる胃腸炎では、主に、吐き気やおう吐、下痢、発熱、腹痛がみられ、これらの症状が平均1日から2日続きます。子どもではおう吐、大人では下痢の症状が多くみられます。
ロタウイルスによる胃腸炎では、主に、おう吐や下痢、発熱がみられ、これらの症状が平均5日から6日続きます。乳児では、強い症状が出ることが多く、けいれんを起こすこともあります。
大人は、ロタウイルスの感染を何度も経験しているため、感染しても症状が出ない場合や軽いかぜのような症状の場合もあります。
病原体により異なりますが、潜伏期間は1日から3日程度です。
特別な治療法はなく、出ている症状を和らげる対症療法が行われます。下痢止めの薬を使用すると回復が遅れることがあるため、使用については医師に相談してからにしましょう。
療養するときは、安静に努め、おう吐の症状がおさまったら少しずつ水分を補給し、消化しやすい食事をとるよう心がけましょう。
乳幼児や高齢者では、下痢などによる脱水症状を生じることがありますので、早めに医療機関を受診することが大切です。特に高齢者は、おう吐物が気管に入り肺炎を起こすことがあるため、体調の変化に注意しましょう。
家族などの周りの方への感染を防ぐため、症状がある間の入浴は、感染している方が一番最後にするようにしましょう。また、症状が消えてからも10日から1か月は便にウイルスが排出されるため、石けんと流水による手洗いをしっかり行いましょう。
集団発生の場合は、関係通知に基づき、保健所への報告をお願いいたします。
詳しくは、下記ページをご確認ください。
厚生労働省では、感染性胃腸炎防止のための適切な手洗い方法に関する動画を公開しています。
おう吐物や便は適切に処理し、感染を広げないようにすることが重要です。
ノロウイルスに効果があるのは、十分な加熱又は塩素系消毒剤による消毒のみです。アルコールなどの消毒剤はあまり効果がないので気をつける必要があります。
消毒に用いる次亜塩素酸ナトリウム希釈液の作り方や使用上の注意点については、下記のページをご覧ください。
ロタウイルスによる感染症についてはワクチンがあり、水戸市では、乳幼児を対象としたロタウイルス予防接種を行っています。
詳しくは、下記バナーからご確認ください。
感染症法では、感染性胃腸炎は五類感染症(定点把握対象)に定められており、定点医療機関は毎週患者数を報告することになっています。
また、基幹定点医療機関は、ロタウイルスによる胃腸炎について毎週患者数を報告することになっています。