本文
RSウイルスに感染することで、発熱や咳など、かぜに似た症状を引き起こす感染症です。一度感染しても免疫は獲得されず、幼児期における再感染による発症はよくみられます。
また、RSウイルスは、特に慢性呼吸器疾患などの基礎疾患のある高齢者において、急性の重症肺炎を起こす原因となることが知られており、特に長期療養施設内での集団発生が問題となる場合があります。
例年は、子どもを中心に、夏から増加傾向となり秋にピークがみられていましたが、2021年以降は、春から初夏に継続的に増加し、夏にピークがみられているため、今後の発生動向について、さらなる注意が必要です。
主な感染経路は、飛沫感染と接触感染です。
主に、発熱や咳、鼻水といった症状が出ます。
潜伏期間は2日から8日、通常は4日から6日です。多くは軽症で、症状が数日続いた後自然に回復しますが、低出生体重児、心疾患や肺疾患、免疫不全のある方、初めて感染する乳幼児、特に生後6か月以内の乳児は、重症化のリスクが高いといわれています。重症化すると、咳がひどくなる、呼吸中に「ゼーゼー」「ヒューヒュー」といった音が出る、呼吸困難になるなどの症状が出現し、場合によっては、細気管支炎、肺炎へと進展していきます。
また、大人の場合、通常は軽いかぜのような症状のみですが、RSウイルスに感染した子どもを看護する保護者や医療スタッフでは、一度に大量のウイルスが体の中に入ることで、症状が重くなる場合があります。
特別な治療法はなく、発熱には解熱薬を用いるなど、症状を和らげる対症療法が行われます。重症化した場合には、点滴での水分補給や呼吸困難の程度に応じて酸素投与を行うこともあります。
療養するときは、早い回復につながるよう、安静にして過ごしましょう。また、脱水症状に注意し、水分をこまめにとりましょう。食事や水分がとれないときや呼吸が苦しいときは、医療機関への受診をご検討ください。
換気や手洗い、咳エチケットといった基本的な感染対策を行いましょう。
基本的な感染対策については、下記のバナーからご確認ください。
また、接触感染を防ぐため、むやみに目や鼻、口を触らない、感染している方とのタオルや食器などの共用をしないといった感染対策も有効です。
流行時には、子どもが日常的に触れるおもちゃや手すりなどは、こまめにアルコールや塩素系消毒剤を使用して消毒しましょう。消毒に用いる次亜塩素酸ナトリウム希釈液の作り方などについては、下記のページをご覧ください。
60歳以上の方を対象としたワクチンや、生まれてくる子どものRSウイルスを原因とする下気道疾患の予防を目的に妊娠している方を対象としたワクチンがあります。
接種を希望される場合は、直接医療機関にお問い合わせください。
なお、RSウイルス感染症のワクチンは法令に定められた定期予防接種ではないため、接種を受ける場合は任意接種となり、接種費用は全額自己負担となります。
感染症法では、五類感染症(定点把握対象)に定められており、定点医療機関は毎週患者数を報告することになっています。