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2024年8月末以降、茨城県内の高齢者福祉施設等における疥癬集団発生事例の報告が続いており、市内でも同様の傾向が見られます。
以下のポイントに該当する項目が2つ以上あるときは、皮膚科を受診しましょう。
ヒゼンダニ(疥癬虫:かいせんちゅう)が人の皮膚に寄生することで、痒みなどを引き起こす感染症です。「通常疥癬」と「角化型疥癬」の2つのタイプがあります。
概要 | 通常疥癬 | 角化型疥癬 |
---|---|---|
ダニの寄生数 | 数十匹以下 | 100万から200万 |
感染力 | 弱い | 強い |
潜伏期間 | 約1か月から2か月 | 4日から5日 |
主な症状 | 痒み、赤い発疹、小豆大のしこり等 |
角質の増殖 |
かゆみの強さ | 強い | 人によって異なる |
症状が出る部位 | 顔や頭を除いた全身 | 全身 |
主な感染経路は、接触感染です。
皮膚と皮膚の接触や、寝具・衣類等を介して感染します。
疥癬の種類によって、感染力が異なります。
長い時間、皮膚と皮膚が直接触れることで感染します。短時間触れる程度であれば感染しません。
また、稀に患者が使用した寝具や衣類等を交換せずに他の人が使用することで感染することもあります。
感染力が強いため、短い時間の接触や、寝具や衣類等を介した間接的な接触でも感染します。
また、落屑(はがれ落ちた皮膚のかけら)に接触することでも感染します。
主に、顔や頭を除いた部位に、強い痒みと赤い乾燥した皮膚の盛り上がりといった症状が出ます。痒みは夜間に強く、不眠の原因となることもあります。また、小豆大のしこりや、疥癬トンネルと呼ばれる、長さ数mmのわずかに盛り上がった、白っぽい線状の発疹がみられることもあります。
皮膚の角質層が異常に増殖し、灰色や黄白色の垢が多く付着します。痒みの強さは人によって異なり、全身に激しい痒みを伴うこともありますが、ほとんど痒み症状がないケースもあります。
飲み薬や塗り薬により、ヒゼンダニを駆除することで治療します。痒みが強い場合は、痒み止めが処方されることもあります。飲み薬は決められた期間きちんと内服し、塗り薬の場合は全身に塗り残しのないよう注意しましょう。
疥癬の種類や症状等によって、処方される薬が異なるため、医師の指示に従いましょう。
周りの人にも感染する可能性が高いため、上記に加え、
疥癬の潜伏期間は長く、潜伏期を抜けて発症する者がでる可能性の期間は数か月に及ぶため、発症者を的確に診断・治療し、角化型疥癬への進展を防げば、集団発生は終息します。過剰な感染予防処置を行ってスタッフが疲弊しないようにするのが、集団感染対策の要点です。
通常疥癬と角化型疥癬では、感染力の強さが異なるため、それぞれ対応が異なります。
対応 | 通常疥癬 | 角化型疥癬 | |
---|---|---|---|
個室管理 | 不要 | 必要(治療開始後1週間から2週間) | |
身体介護 | 手洗い | 処置ごとの手洗いの励行 | |
ガウン・手袋 | 状況に応じて検討 | 患者対応時は着用 | |
入浴 | 通常どおり | ・入浴は最後とする ・使用後の浴槽等は水で流し、脱衣所は掃除機をかける |
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居室環境整備 | 殺虫剤の散布 | 不要 | 隔離解除後に殺虫剤を1回散布する |
清掃 | 通常どおり | 粘着シート等で落屑を回収後、掃除機 | |
布団の消毒 | 不要 | ビニールに入れ、殺虫剤を噴霧し24時間密封 | |
車いす・ストレッチャー | 患者使用時清拭 | 殺虫剤散布、掃除機、清拭 | |
診察室・検査室ベッド | 患者使用時清拭 | ディスポシーツ使用 | |
血圧計 | 患者使用時清拭 | 殺虫剤散布後、清拭 | |
リネン類 | シーツ類の交換 | 通常通り (他者と共有はしない) |
自家感染予防のため治療ごとに交換 |
洗濯物の運搬 | 落屑等が落ちないようビニール袋等にいれて運搬 | ||
洗濯 | 通常どおり | 以下のいずれかの方法 ・通常洗濯後に乾燥機を使用 ・50℃10分間熱処理後に通常洗濯 |
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物品の共有 | 直接触れるものは共有しない | 患者に使用するものは専用とし、隔離解除時に掃除機または殺虫剤を散布 | |
その他の共通事項 | ・皮膚観察の強化、症状出現時の受診勧奨 ・施設等での発生の場合、利用者及び家族等への周知 ・職員のユニホームの自宅への持ち帰りは行わない |
施設等で疥癬が発生した場合には、茨城県リーフレットや下記マニュアルを参考にご対応ください。
集団発生の場合は、関係通知に基づき、保健所への報告をお願いいたします。
詳しくは下記ページをご確認ください。
感染症法では、届出対象疾患には該当しませんが、一般的には感染症の一つとされています。