本文
記者会見での発言内容を要約したものです。(みとの魅力発信課作成)
日時:令和7年2月25日(火曜日)、午後1時30分~午後2時45分
お忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。
報道機関の皆様におかれましては、日頃より本市の情報発信に多大なる御協力をいただき、心より御礼を申し上げます。
今年1月から、さまざまな団体の賀詞交歓会や新年会に参加して、それぞれの団体が置かれた状況を聞いてきました。すると、主な課題は二つ、人材不足と物資物価の高騰であることが分かりました。
特に人材不足は、市においても専門職や技術職の人材を集められていないという状況があります。民間企業と違い、給料で人を集めることは難しいので、仕事にやりがいを感じていただくことで、人材の確保に努めたいと考えております。
また、民間企業の中でも、大企業と中小零細企業で、技術力の格差が生まれています。企業にとっても本市にとっても技術力は大切なものです。
このような問題を、国・県・市町村がどのように解決していかなければならないか考えさせられる1か月でした。
本日は、令和7年第1回水戸市議会定例会に提出する議案について、発表させていただきます。
最初に、本市の令和7年度予算でありますが、まず、予算の規模につきましては、一般会計は、総額1,275億6,100万円としました。令和6年度予算からは、77億3,600万円、6.5パーセントの増であります。
また、特別会計及び公営企業会計を含む市全体の予算総額は、2,133億3,020万円とし、令和6年度から、85億790万円、4.2パーセントの増としました。
次に予算の編成方針でありますが、令和7年度においては、「水戸市第7次総合計画-みと魁・Nextプラン-の着実な推進」と「水戸の未来を支える持続可能な財政基盤の確立」の二つの基本方針のもと、編成を行いました。
特に、本市の最重要政策であるこども・子育て支援や教育につきましては、選択と集中の考えのもと、財源配分の重点化を一層推し進め、小学校給食費の無償化を実現するとともに、教育環境の改善に向けて学校施設の整備費を増額するなど、施策の更なる充実を図ることといたしました。
また、備蓄物資・資機材の拡充や総合的な治水・雨水対策の推進に取り組むなど、市民の生命と財産を守る防災・減災対策の強化を図るとともに、都市核の機能充実や企業誘致、中小企業の成長支援など、本市の経済発展に資する施策を引き続き積極的に展開することといたしました。
予算以外の議案としましては、犯罪被害者等に対する支援の強化を図るため、新たな条例を制定するほか、令和8年度にごみ処理手数料を改定するための条例改正など、合計24件を提出してまいります。
また、議会初日には、各会計の令和6年度補正予算に加え、アダストリアみとアリーナの観客席等改修工事に係る契約を締結するための議案を追加で提出してまいります。
このうち、一般会計の補正予算につきましては、先に成立した国の補正予算を踏まえ、防災・減災対策の強化に向けて、防災倉庫や備蓄資機材の整備を進めるとともに、小学校校舎の長寿命化改良事業等について、補正措置を講じてまいります。
また、職員等の給与改定を実施するとともに、水戸黄門ふるさと寄附金については、好調な寄附状況を踏まえ、寄附をいただいた方に対する返礼品等の経費の増額を図ってまいります。
説明は以上でございます。それでは、よろしくお願いいたします。
記者:先日、水戸市廃棄物減量等推進審議会から一般廃棄物の処理手数料について、45リットル袋を現在の1枚30円から45円に値上げするよう答申があった。
それを受けて、条例改正案が示されたが、値上げについて市民にどのように説明していくつもりか。
市長:私は、こどもたちや将来世代により良い環境を残すことが責務であることに加え、健全なごみ処理事業を運営するためには、受益者負担の原則、排出量に応じた負担の公平性に基づき、市民の皆様から適正な費用負担をいただく必要があると考え、ごみ処理手数料のあり方について審議会へ諮問し、提言を踏まえ、ごみ処理手数料を改定することとしました。
令和5年度のごみ処理事業の歳出は、約31億5千万円、そのうち家庭系ごみ収集・処理に係る経費が約25億9千万円です。ごみ収集袋・券の歳入は、約3億7千万円で、受益者負担割合は約23%となっています。
しかしながら、近年の燃料費・人件費の高騰により、令和10年度の見通しにおいて、ごみ処理事業の歳出は約36億3千万円、そのうち家庭系ごみ収集・処理に係る経費が約29億3千万円となっています。それに対し、ごみ収集袋・券の歳入は、約3億4千万円となり、受益者負担割合が約15%と大幅に低下する見込みであり、市の負担だけでは事業運営が厳しい状況です。
今後は、ごみ処理に係る経費などの情報とあわせて、受益者負担の原則に基づき市民の皆様からごみ処理に係る応分の費用負担をしていただく必要性について情報発信し、市、市民、事業者が責任を共有しながら3R(リデュース、リユース、リサイクル)を進め、健全なごみ処理事業の運営を目指していきたいと考えております。
条例改正は、令和8年4月から施行するということで、1年間の周知期間を設けました。この間、手数料改定について理解・協力いただけるよう、「広報みと」や市ホームページ、SNSにより情報を発信するほか、改定をお知らせするパンフレットやチラシ、ポスター等を作成し、周知を図ってまいります。
住みよいまちづくり推進協議会地区会長への説明をはじめ、各地区会の町内会・自治会長や転入者・希望者へチラシ・パンフレットを配布するほか、要望に応じて住民説明会を開催するなど、手数料改定の必要性等について丁寧な周知を行ってまいります。
その他、町内会未加入世帯に対して、不動産会社や大学を通した周知を行うとともに、タウン誌へ掲載するほか、各種イベントにおいても手数料改定の必要性等について啓発活動を実施するなど、円滑な移行に向けた取組みに努めます。
なお、条例施行の間際で、ごみ袋の買い占め等が生じないような工夫も考えていきます。
4人世帯のモデル家庭で、45リットルの袋を1か月に、燃えるごみ9枚、燃えないごみ1枚を使用した場合でシミュレーションしたところ、1か月で150円、年間1,800円程度の値上げとなりました。
このことに対する市民の捉え方は、情報発信の方法にもよるかと思います。市民には、丁寧に説明してまいりたいと考えております。
私としては、市民が値上げを大変なことだと認識してもらったほうが効果的に3Rにつながるのではないかと思っております。このことも踏まえ、環境保全につながるよう情報発信をしてまいります。
記者:茨城ロボッツのBリーグプレミア入りが決まり、アダストリアみとアリーナの改修費は5億円弱になると伺っている。
市としては改修費の半分を茨城ロボッツに求めるとしているが、現時点で、改修に向けた寄附はどれぐらい集まっているか。また、最低でも改修費の半分を茨城ロボッツに求めることに変更はないか伺いたい。
市長:Bリーグプレミアに向けた改修費は、間もなく完了する実施設計等を含め、総額で約4億8千万円です。その半分の約2億4千万円は、企業版ふるさと納税制度を活用して支援する考えです。
財源となる寄附金については、現在、全体で、約1億6千万円となっております。残りの約8千万円についても、必ず寄附を募るよう、茨城ロボッツ側に求めていく考えです。
今議会において、アリーナ観客席等改修のうち建築工事の契約締結について、議案として提出させていただきました。
工事等については、令和7年度中の完成予定であり、令和8年4月には、供用開始するように進めてまいります。工事期間中は、メインアリーナにおいて、資材の搬入等があることから、一時的にメインアリーナ全体の利用を制限することになります。観客席を中心とした工事であるため、できるだけ観客席以外の施設利用が可能になるよう工事を進めてまいります。
茨城ロボッツのBリーグプレミア参入により、市民が楽しめるスポーツの振興はもちろん、こどもたちに夢を与え、将来への希望にもつながっていくこと、トップレベルの試合に全国から観客を呼び込むことで、地域のにぎわいや直接的な経済効果が生み出されることと確信しております。引き続き、スポーツによる盛り上がりを続けていくためにも、議会や市民への説明責任を果たすとともに、Bリーグや茨城ロボッツとの連携を図りながら、市民に愛され親しまれる施設となるよう、アリーナの改修に取り組んでまいります。
記者:昨年5月の茨城ロボッツのシーズンエンドパーティーを開催した際に、アダストリアみとアリーナの改修に係るふるさと寄附金が1.5億円集まっているとの説明がなされました。それから9か月経って、1.6億円と、1千万円しか増えていないが、このことについてどのように感じているか。
市長:企業の決算はさまざまな時期に行われ、タイミングがあると思いますので、今後残りの8千万円は集まると考えています。また、茨城ロボッツとはこれまでも信頼関係を保ってきましたので、改修費の半分を負担していただくという約束は守っていただけると確信しております。
記者:大工町エリアにAI防犯カメラを導入するに至った背景と、その効果で期待していることについて伺いたい。
市長:違法な客引きは、大工町エリアにおける長年の懸案事項であり、警察の取り締まりといたちごっこという状況でした。そのような時、ある事業者から災害や火災の分析ができるシステムの提案を受けた際、私から事業者に対し、顔認証ができる防犯カメラが作れないか提案したことが、AI防犯カメラを導入するに至ったきっかけです。
このAI防犯カメラを活用しながら警察と連携することで、検挙率が上がることを期待しています。また、AI防犯カメラの設置を積極的に啓発して抑止力を発揮していきたいと考えております。
観光客が、水戸市での夜の飲み歩きを安心して行える環境を整備することは観光振興につながることから、大工町エリアをいいまちにしていきたいと考えております。
記者:防犯AIカメラの精度や設置数について伺いたい。顔認証ができるということで、一般の方が委縮してしまうような心配はないか。
また、他市の事例では、客引きをしないよう音声を流して注意を促したり、巡回指導員にメールで知らせたりする機能を使用しているが、市として参考にした事例はあるか。
市長:顔認証を行うので、かなり高精度のカメラを4台増設します。高精度であり、一般の方の顔も記録されてしまうため、記録データは違法な客引きの検挙以外には絶対に使わず、個人情報は厳重に管理することを徹底する必要があります。
参考にした事例はありませんが、AI防犯カメラの活用については今後、警察と協議してまいります。
記者:小学校給食費の完全無償化を行った背景と狙いを伺いたい。
市長:私の公約であり、市民の要望が強い事業でもありました。財政的にかなり厳しかったのですが、優先度が高い事業ですので、今年度から完全無償化といたしました。
国においても2026年度から小学校給食費の無償化を行っていく方向であると聞いています。その時は、国の事業に移行して浮いた費用を、保育料の無償化に向けた事業などに効果的に配分してまいりたいと考えております。
記者:子育て支援策について、これまでどのようなニーズがあったか。また、現在の状況に至ったことに関する市長の思いについて伺いたい。
市長:先進都市と比べると政策は十分ではないかもしれませんが、実感として最近、「~の費用を補助してほしい」などの声を聞くことがなくなってきたと感じています。
一方、今増えているのは、「こどもを遊ばせる場所がない」という意見です。公園で遊ぶと苦情が出たり、放課後学級が増えたことによって、利用者との混同を防ぐため学校のグラウンドが使用しづらくなったりする状況が増えてきました。
こどもの健全な育成のためには、遊びが必要であり、遊ぶためには遊び場が必要です。来年度は、一つの公園でネットを設置してボール遊びをできるようにすることや、校庭の開放をモデル的に行ってまいります。
市民センターのこどもスペースも、全市民センターでできるよう地区会と相談したりするなど、こどもの健全な育成のための居場所づくりに取り組んでまいりたいと考えております。
記者:防災関係の予算について市長の思いを伺いたい。
市長:市民の生命と財産を守るために、災害に対する備えは高いレベルにしておかなければならないと考えています。
特に、能登半島沖地震の状況などから、災害関連死を一例でもなくしたいと考えていました。そのためには、備蓄品を充実し、小中学校体育館へのエアコン設置など、避難所の環境をよくすることが必要です。このような整備を行うことで、災害関連死をなくしてまいりたいと考えております。
記者:水戸ホーリーホックが新スタジアム案を見直すことが発表され、建設候補地を広げることや、既存施設の改修案に言及していた。昨年4月は、スタジアムを民設から公設に方針を転換したことから、背景には主に資金力の不足があると考えれる。このことについて、ホームタウン推進協議会長を務める水戸市は、どのように考えているのか。建設への資金援助、または既存施設の改修について協力といった考えはあるのか。
市長:水戸ホーリーホックは、水戸の宝であり、市民の誇りでもある、貴重な地域資源であると感じています。
そのため市では、令和元年に、ケーズデンキスタジアム水戸を、J1基準を満たす施設とするため、30億円から40億円が見込まれる改修へ向けた基本計画策定のための予算を計上しました。
当時は4大プロジェクトに取り組んでおり、財政的にも非常に厳しい状況の中ではありましたが、J1昇格に向けて強力な後押しを進めるため、多額の費用を要する事業の実施を決断しました。
しかし、水戸ホーリーホック側から事前の協議もないままに新スタジアム建設の発表があり、改修の計画は取りやめになった経緯があります。
その際に、水戸ホーリーホックが新スタジアム建設を民設で進めていく計画について、市は農地転用・地区計画などで法的規制が出てくる場合、スムーズに計画が進むようソフト面での支援を行うことや、周辺道路の整備などのインフラ整備で支援していくこととしており、その考えは今も変わりません。
本市としては、第7次総合計画に位置付けた子育て支援の充実や福祉施策などに財源をシフトしてる中で、それらを行わずに、新スタジアムの建設に200億円もの投資をすることについては、到底市民理解が得られるものではないと考えております。
私の公約では、子育て支援や福祉のほか、学校の長寿命化大規模改修事業や市民センターの大規模改修など、教育や身近な地域施設を優先して整備していくことを位置付けていますし、老朽化した上下水道管の整備など、生活に密着したハード事業も進めていかなければなりません。
また、起債残高の削減に取り組んでいる中、また多額の借金を抱えることは、市民の理解を得るのは難しく、公設の考えはまったく持っていません。
先日、水戸ホーリーホックから公表された既存施設の改修についての考えも、本市に対して協議の申し出や具体的な提案をいただいたことはありません。以前こちらから改修の提案をした際に事業を行っていれば、今頃改修が完了していたのではないでしょうか。しかし現在は、事業費も膨らんでおり、本市が改修を行うことは検討しておりません。
ただ、ホームタウン協議会の中心市として、市民理解が得られる範囲で、何らかの協力はしなければならないと考えております。
記者:水戸ホーリーホックには、今後どのような姿勢を求めるのか。
市長:水戸ホーリーホック側からは、何の協議もなく、いろいろな発言が出てくるので、正直とまどいを感じています。
本市は、新スタジアムの建設などのハード事業を行う考えはなく、あくまでも民設で進める計画を、市が協力する考えでいます。
水戸ホーリーホックに対しては、本市が悪いというストーリーを作らないでほしいと強く求めたいと考えています。
記者:水戸市はなぜ、茨城県が進める水道事業の広域連携に参加せず、単独経営としたのか。その理由と、今後、参加の可能性があるかについて伺いたい。
市長:市民負担につながるかどうかを重視しました。広域連携に参加した場合と単独経営の料金をシミュレーションしたところ、どちらも料金の値上げは必要ですが、単独経営の方が、値上げ幅が緩やかで、そのような状況が続くことが分かったため、広域連携に参加する考えは全くありません。
記者:「近世日本の教育遺産群」の日本遺産としての認定について、条件付きの認定継続という判断がなされたが、このことについて市長の考えや、文化庁から求められている観光振興への取組への意気込みを伺いたい。
市長:もともとは、4市の教育遺産世界遺産登録推進協議会において、教育遺産の世界遺産登録を目指して始まりました。
世界遺産を目指すための活動をしていく中で、日本遺産に認定され、偕楽園・弘道館は、訪問客が増えていたところですが、今回の審査で、日本遺産はインバウンド観光を促進することが重要であることが示されました。このことを受け、インバウンド促進の考えを取り入れた計画を作成し、条件付きの日本遺産認定となったところです。
また、協議会に観光部会を設置し、インバウンド観光を促進する体制を整え、大阪万博2025では、ブースを設けてPRする計画を立てています。
このように、これまでの文化財の保存・保護という視点から、観光という視点で資源を磨き上げる方向にシフト替えしていかなければならないと考えております。
記者:茨城県による水戸保健医療圏の6病院に係る再編について、市長の考えを伺いたい。
市長:市長就任以来関わってきた案件で、なかなかまとまらなかったのですが、茨城県がリーダーシップを発揮し、前進させてくださいました。ありがたいことであり、評価させていただきたいです。
記者:千波公園のPark-PFIについて、期待と、市の観光への位置付けについて伺いたい。
市長:若者から、水戸市は観光地でありながら、遊ぶ場所や楽しめる場所が少ないという意見をいただいていました。そこで、新たにランニングステーションや自然アクティビティ拠点が整備され、千波湖周辺の観光地としての付加価値は高まっていくと考えております。
事業者とうまく連携しながら、いいコンテンツを作り上げ、集客力を高めていきたいと考えております。