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記者会見での発言内容を要約したものです。(みとの魅力発信課作成)
日時:令和7年5月30日(金曜日)、午前10時00分~午前11時10分
お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。
報道機関の皆様におかれましては、日頃より本市の情報発信に多大なる御協力をいただき、心より御礼を申し上げます。
昨日、ある会合で、5月29日は市長に就任した日ですねと言われ、東日本大震災後の2011年に市長に就任してから、昨日で14年が経過したことに気づかされました。今任期は、折り返し地点を迎えたところであり、身の引き締まる思いを新たにしながら、しっかり責任を果たしていかなければならないと思っております。2年前に掲げた選挙公約を改めて確認し、これまでの事業をチェックして、次の2年間を展望してまいりたいと考えております。
また、明日をもって、茨城県市長会会長の職を退任することとなりました。この2年間、様々な会合や、国への要望などの活動があり、学ぶことも多かったのですが、市内で開催されている、市民が参加する会合に参加することができず、市民の声を直接聴くことが十分にできませんでした。そこで、任期の残り2年間は、水戸市の仕事に専念したいという思いから、茨城県市長会会長の退任を申し出たところです。会長を務めていた際は、県内の首長の皆さまに支えていただき、職務を全うすることができました。また、関係者の方々に御礼を申し上げます。
それでは、令和7年第2回水戸市議会定例会に提出する案件を、発表させていただきます。
初日に提出する案件につきましては、議案9件、報告28件の合計37件でございます。
このうち主なものでありますが、地方税法等の改正に伴う市税条例の改正のほか、集中豪雨等による浸水被害を軽減するための内原町調整池整備工事請負契約の締結などを提出してまいります。
補正予算につきましては、令和6年度に寄附を受けた土地の売払収入を地域医療基金に積み立てるとともに、新型コロナウイルス予防接種費用の助成を行うため、補正措置を講じてまいります。
なお、一般会計におきましては、国の施策である定額減税補足給付金の追加支給を実施するため、5月16日付けで補正予算の専決処分を行っておりますので、あわせて報告してまいります。
それでは、これらの概要につきまして、担当が御説明申し上げますので、よろしくお願いいたします。
(財務部長、財政課長による説明)
記者:コメの価格高騰は、市民の財布を直撃している。市の政策への影響はあるか(例えば今年度から全面無償化した学校給食の材料費や、ふるさと納税の返礼品など)。
市長:本市の学校給食で提供する米は、JA水戸を通じ、市内の生産者により、水戸市学校給食用として生産されているものです。
毎年、収穫された米は、JA水戸が精米し、炊飯業者が炊き上げ、米飯として、食べられる状態で、各学校に配送されています。
そのため、市が購入する米飯の価格には、米そのものの価格に、精米、炊飯、配送の費用が含まれています。
米飯の価格は、水戸市、JA水戸、炊飯業者の3者の合意に基づき、毎年、11月に決定され、翌年の4月には見直しが行われますが、米そのものの価格については、1年間を通して変わりません。
昨年11月の価格改定の際には、本市の学校給食用の米の価格も、全国的な米の価格高騰の影響を受け、およそ1.65倍に上昇しました。
そのため、令和6年度の後期分(11月から3月まで)の米飯の費用総額は、令和5年度の後期分(約8千万円)と比較して25%以上も増加し、およそ1億円となったところです。
今年の11月の価格改定に備え、引き続き、米の価格の動向を注視してまいります。
帝国データバンクの調べによると、令和7年4月には、合計4,225品目の飲食料品の値上げがあったとのことであり、学校給食の食材料費については、米以外の食材についても、その価格の変動を注視していく必要があります。
本市では、これまでも、保護者の負担を増やすことなく、物価の上昇にも的確に対応し、充実した魅力ある学校給食を提供することができるよう、十分な予算を確保しながら、取り組んできたところです。
令和7年度予算については、学校給食の食材料費について、さらなる物価の上昇を見込み、昨年度の約13億5千万円から、およそ8千万円を増額し、約14億3千万円を計上しています。
引き続き、質や量を落とすことなく栄養バランスの取れた魅力ある学校給食を提供してまいります。
本市では、今年度から、市立小・中・義務教育学校の全校において、児童生徒の給食費を完全無償化するものとしました。
全国一律の給食費の無償化については、今国会において、「まずは小学校を念頭に、地方の実情等を踏まえ、令和8年度に実現する」という方針が示されています。
具体的な仕組みは、まだ示されていませんが、給食費の金額は、地域ごとに大きく異なることから、本市としても、各地域の事情に応じ、実費を基本とした支援をしていただけるよう、国に働きかけていきます。
また、ふるさと納税への影響ですが、コメの価格高騰を受けて、全国的にコメの返礼品の人気が高まったことにより、本市のコメ返礼品にも注目が集まり、令和7年4月のコメ返礼品に対する寄附金額は前年同月に比べ約7倍となり、令和7年4月の本市に対するふるさと納税による寄附金総額は、前年同月と比べ約3.4倍に達し、本市の歳入増加に寄与しています。
現在、旺盛なコメ返礼品に対する需要に対応するためのコメの在庫の確保や、在庫を上回る過大な受注とならないよう、在庫管理の徹底した対応を行っています。
令和7年度産のコメ返礼品については、現在、どれだけ確保できるか見通しがたっていませんが、水戸市を応援してくださる寄附者の期待に応えるべく事業者との情報交換を積極的に行いコメ返礼品の確保に努めます。併せて、発送不能の事態に陥らないよう需給のバランスを図り、引き続き、在庫管理の徹底に努めます。
記者:コメだけでなく、2024年問題の物流なども含めた物価高は、トランプ関税の懸念もあり、ますます市民を不安にさせている。所感や、市の政策について伺いたい。
市長:ロシアのウクライナ侵攻など、不安定な国際情勢を背景としたエネルギー価格の高騰が長引く中、国内では、運送業界における2024年問題のほか、連日報道されている米の高騰など、さまざまなモノ・サービスの価格が高騰しており、市民生活に大きな影響を与えているものと考えています。
また、さまざまな業界の状況を聞くと、人材不足とともに、人件費や原材料費等の高騰が大きな課題となっていると感じている。このような状況に加え、アメリカの相互関税、いわゆるトランプ関税による国内への影響は先行きが見通せず、地域経済への影響の拡大や長期化を懸念しています。
私は、長引く物価高騰下において、市民が安心して暮らしていくためには、低所得世帯や子育て世帯等への直接的な支援はもちろんのこと、持続的に発展する強い経済基盤をつくっていくことが重要であると考えています。そのため、創業・スタートアップ支援をはじめ、企業誘致や地元企業の成長支援に取り組んでまいります。
また、人材不足に対応し、経済の好循環を生み出すためにも、賃上げについて、事業者や業界団体へ働きかけていきたいと考えております。
令和4年度から令和6年度までに、原油価格・物価高騰対策事業として、約147億円を予算措置してきたところです。
これまでに、本市独自の取組として、エネルギー価格高騰の影響を大きく受ける公共交通事業者や運送事業者のほか、幼稚園・保育所や福祉施設、医療機関等への支援を実施してきたところです。また、国の施策を踏まえ、物価高騰の負担感が大きい低所得世帯等への給付金による家計支援を継続的に実施しています。
今年度は、子育て世帯の経済的負担の軽減を図るため、中学校給食費の無償化(4億3千472万円)を継続するとともに、新たに小学校給食費を全額無償(8億5千986万6千円)としました。また、食の安定供給の観点から、価格転嫁が難しい飼料用米の生産者(2千万円)や配合飼料等の価格高騰が続く畜産農家(1千600万円)への支援を実施することとしています。
また、今後実施を予定している定額減税を補足する給付(9億2千700万円)についても、専決処分により補正予算を措置しており、早期に実施できるよう、しっかりと準備を進めていきます。
これらの取組を実施するため、令和7年度は、あわせて約22億6千万円を予算措置しています。
今後、更なる対策を講じていくためには、財源確保が不可欠であることから、引き続き、国の動向を注視するとともに、地方創生臨時交付金等の継続、拡充について、あらゆる機会を捉えて国に要望していきます。
記者:校内フリースクールについて、中学校全校で1年がたち、小学校6校で今年度から開始した。市内には今年度、私立のまなびの多様化学校もできたが、市として教室や学校に行きにくいこどもたちへの対応の政策について、進捗や所感について伺いたい。
市長:学校に登校できないこどもたちの自立をどう支えていくかについては、継続的に取り組むべき重要な課題であると認識しています。
また、こどもたちが学びたいと思ったときに学べる環境を整備するとともに、自分に合った多様な居場所を選択できる環境を整えることが重要です。
令和6年度から市内全中学校において校内フリースク―ルを順次開設し、令和7年3月末現在、不登校生徒(令和5年度471名を基準)のうち約30%の生徒が利用登録を行っており、1校当たり1日平均3名程度の生徒が利用しています。
校内フリースクールでは、生徒自身の学習計画に基づいた自主学習や在籍学級の授業を視聴するオンライン学習などを行っています。
教員や支援員は、一人一人の状況に応じ、わからない問題を支援したり、生徒とコミュニケーションを図ったりしながら、不安や悩みを聞くなど、不安解消に向けた学習支援や教育相談を行っています。
校内フリースクールができたことで、これまで登校できなかった生徒が登校できるようになったり、校内フリースクールを利用している生徒が、在籍学級での授業や給食に参加することができたりした事例も多く見られています。
登録者以外にも、一時的利用や体験利用などの生徒もおり、校内フリースクールは、不登校支援だけでなく、未然防止の役割も果たしています。
今後は、校内フリースクールの活用方法や成果を、支援を必要とする生徒や保護者に周知し、一人でも多くの生徒を支援できるよう利用促進に努めます。
本市の不登校児童数は、国・県と比較すると、1,000人当たりの不登校児童数の割合は、依然として高い状況にあります。
中学校での取組による成果をはじめ、課題等を精査しながら、学校規模や各学校の実情等を踏まえ、優先順位を定め、令和7年度は小学校6校へ校内フリースクールを開設します。
6校の選定理由として、地域バランスを基本として、既に教室を確保し、不登校児童を受け入れている学校や不登校児童数が多い学校などを選定しました。
小学校6校には、充実した学びの場とするため、4月から教員免許を有する校内フリースクール支援員(会計年度任用職員)を配置し、学習相談・教育相談を行っています。
昨年度、既に空き教室で児童を受け入れていた3校(三の丸小・千波小・梅が丘小)においては、4月以降、順次開設しており、7~8名利用している学校もあります。新たに開設する3校については、物品の搬入(パーテーション、作業机等)など、環境を整備した後、6月から開設します。
6校での取組の成果等を踏まえ、段階的に校内フリースクールを必要とする全ての小学校へ拡充してまいりたいと考えております。
県からの派遣(スクールソーシャルワーカー4名、スクールカウンセラー16名)に加え、本市独自にスクールソーシャルワーカー2名とスクールカウンセラー1名を配置し、児童生徒やその保護者と面談を行っています。また、本市独自に心の教室相談員を全ての中学校に配置しています。
不登校の要因が家庭環境である場合などは、福祉の専門家であるスクールソーシャルワーカーが、よりきめ細かく家庭訪問や登校支援を行っており、学校と関係機関が連携し、家庭へのつながりを深めながら一人一人に応じた支援に努めています。
本市独自にスクールカウンセラーを配置したことで、これまで訪問回数が少なかった小学校への計画的な巡回訪問や、学校からの緊急要請・緊急対応に当たるとともに、教員研修の講師としても、本市の不登校児童生徒の現状を踏まえ、専門的立場から助言しています。
1人1台端末を活用し、校内オンライン相談窓口の開設や、教育ダッシュボードによる「こころの健康観察」など、小さな変化やサインを見逃さず、日常的、定期的な情報収集により、実態把握と早期対応に努めます。
令和7年4月からリリーガーデン小学校が山根小学校跡地に開校しました。
学びの多様化学校では、個々の児童生徒の実態に即した柔軟できめ細かな指導、支援が行われるとともに、社会性の育成につながるなど、教育上の効果が期待されています。
そのため、近々、私と担当課でリリーガーデン小学校へ視察に行かせていただき、実際に教育活動を見学し、本市が見習うべきことや、不登校対策についてどのように連携を図っていくべきかなど、肌で感じ、しっかりと本市の施策に生かしてまいりたいと考えております。
記者:これまでの任期2年を振り返ってどう考えるか。また、今後の2年をどのように展望しているか伺いたい。
市長:政策の1丁目1番地として子育て支援を充実してまいりました。経済的負担の軽減として取り組んだ給食費の無償化は、中学校で実施したほか、小学校まで無償化を実現することができました。この点に関しては、100点以上と自負しています。
そのほか、相談体制の充実・強化については、こども部の努力で、こども家庭センターを設置して、子育てに悩む家庭にプッシュ型で支援ができていますし、こどもの居場所づくりとしては、現在7か所の市民センターで「こどもスペース」を設置しており、夏休みから全ての市民センターに拡大したいと考えております。
一方、第2子以降の保育料の無償化がまだ達成できておりませんので、残りの任期で実現に向けて進めてまいりたいと考えております。このように、子育て施策は概ね順調に進捗していると感じております。引続き、子育て世代のニーズに耳を傾け、子育て施策を推進してまいります。
経済の活性化については、MitoriO周辺において、人の流れを生み出すことができたものと考えていますが、その方たちを消費に促していくことは課題であると考えております。また、空き店舗については、数は減ってきていますが、目標の空き店舗率10%には届いておりませんので、力を入れてまいります。
安心・安全については、防災・減災の面では、ハード・ソフト両面から整備が進んでおります。令和8年度には那珂川緊急治水対策プロジェクトが完了するとのことで、これまでの要望活動が実っていると感じています。避難所においても、備蓄物資を充実させてきました。
医療面では、県が県立中央病院を水戸市と笠間市の隣接地に移転するということで動き出しました。地域医療構想による公的病院等の維持を公約で示してきたところですので、引き続き、公的病院や県と連携しながら、持続可能な医療体制の充実を図ってまいりたいと考えております。
休日夜間緊急診療所は、365日の医療体制を整えられて、水戸市だけでなく、県央地域の医療を支えていることは自慢できることかと思います。
このように、子育て・経済・安心安全の3本柱について、実施できていることとできていないことを確認し、今後2年間でスケジュールなどを確認してから進めてまいりたいと考えております。
公約で掲げたことは基本的に達成していくスケジュール感を持つということです。これに加え、公約に掲げていなくても、時代の流れで行わなければならないフリースクールなどの施策を実施しており、時代の変化と市民ニーズを捉え、公約を超えたものも考慮して、今後2年間の展望を作り上げていきたいと考えております。
記者:水戸市の人口減少が続いているが、県都を担う市長として、県内の地盤を上げる必要があると思うがその点についてのお考えを伺いたい。
市長:水戸市民の幸せが最優先ですが、県央・県北地域を支えられるリーダーシップも発揮してまいりたいと考えております。連携中枢都市圏ビジョンの改定にも取り組みながら、県央地域の発展に資するような施策を展開してまいります。
水戸市に働く場所があり、道路インフラが充実していれば、県北地域に住んで、水戸市に働きに来ることができます。水戸市が働く場所の受け皿になるほか、教育機関や遊びの場も充実させ、県央・県北地域の支えになりたいと考えております。
水戸市は社会増となっていますが、自然増を自然減が大きく上回っており、人口は減少している状態です。自然増を増やして自然減を減らすことはもちろんですが、企業立地を増加したり、いろいろな過ごし方ができたりする魅力あるまちにして社会増を図り、この難局を乗り切ってまいりたいと考えております。これは、今後2年間の中で力を入れる大きな課題です。
記者:フリースクールについて、3割が登録しているとのことだが、登録していない方にはどのようにアプローチをしていくのか伺いたい。
市長:こどもたちは、様々な状況において家で過ごしているかと思いますが、水戸市は不登校のこどもたちに対する接触率が高く、担当者はこどもたちの個々の状況を把握しています。ひきこもりにならないようきめ細かい施策を実施することは可能であると考えており、学校の教室に戻れなくてもフリースクールには通えるようにアプローチをしてまいりたいと考えております。
また、フリースクールの成果や取組をきちんと示すことで、こどもたちや保護者が「通ってみようか」「通わせてみようか」と思ってくださるようになるかと思います。
教育部長:全国的には、家にいて、どこともつながっていない小中学生が4割ほどいるというデータがございますが、水戸市ではゼロという結果でした。これは、学校において週1回以上不登校のこどもたちに接触して様子を伺ったり、学習の相談をしたりして、きめ細かな対応をしている成果だと考えております。
このような対応を通して、水戸市には校内フリースクールのほか、民間のフリースクールも多くありますので、多様なフリースクールの情報を提供して呼びかけてまいりたいと考えております。
記者:飯富中学校で、生徒のヘルメットを自由にしたことについて所感と、このことを他の学校にも進めたいか伺いたい。
市長:かっこいいヘルメットをかぶることで、高校に入ってもヘルメットをかぶっていただくきっかけづくりになるなら、安全性を確保するために大いに歓迎することと考えています。この事例は各学校に紹介してまいります。
記者:先日、モノタロウの物流倉庫の起工式が行われるなど、水戸市として企業誘致に力を入れているかと思うが、これまでの成果と展望を伺いたい。
市長:水戸市の企業誘致の弱点は、タネ地がないということです。また、農地は多いのですが、農振除外が難しくなっているという状況ですので、限定的な中で土地を探さなければならない状況です。
商工課で地図を広げて、土地を確保できそうなところを選定して地権者と交渉に当たっていますが、了承を得るのは難しいと実感しております。とはいっても、一番の問題を克服しないと企業立地は進まないので、今後も、企業立地につながりそうな場所を見つけたときは、積極的に地権者と交渉するなど、企業立地につなげてまいりたいと考えております。