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咽頭結膜熱(いわゆるプール熱)の患者数が過去10年間で最も多い状況となっています。咽頭結膜熱はアデノウイルスによる感染症です。主に夏に小児を中心に流行する感染症ですが、最近の傾向として冬にも小流行がみられることがあります。
令和5年第48週(11月27日~12月3日)は、茨城県内の報告数が警報基準値(定点当たり報告数3.0)を超え、12月7日に県内全域に「咽頭結膜熱流行警報」が発令されましたが、1月7日に流行終息基準値を下回りました。
茨城県での警報発令は、現在の調査体制となった1999年以来初めてです。全国でも第45週以降、警報基準値を超えており、全国的に流行しています。
主な症状は39℃前後の発熱、咽頭炎(のどの痛み・初赤など)、結膜炎(目の充血、めやになど)、その他のリンパ節の腫れ、腹痛、下痢などです。
症状は1~2週間でおさまりますが、重症化した場合は肺炎などを合併することがあります。
治療はそれぞれの症状に対する対処療法が中心となります。
感染力は非常に強く、咳やくしゃみなどのしぶきに含まれるウイルスによって感染(飛まつ感染)するほか、ウイルスが付着した手やタオルなどの患者が触れたものを介しても感染(接触感染)します。
※プールでの感染があることから「プール熱」と呼ばれることもありますが、それよりも接触感染によって感染することが多いです。
アデノウイルスにはアルコールが効きにくいため、石けんと流水でのこまめな手洗いをしましょう。
プールや温泉施設を利用する際は、必ず前後にシャワーを浴び、タオルの共有は避けましょう。
溶連菌感染症は、毎年、「冬」及び「春から初夏にかけて」流行しますが、今年はすでに流行が始まっており、今後も拡大する恐れがあります。
A群溶血性レンサ球菌が原因となる感染症で、扁桃腺などの上気道感染症、伝染性膿痂しん(とびひ)、猩紅熱(しょうこうねつ)などが主な疾患です。
治療については、適切に抗菌薬を内服することで、多くの場合、後遺症なく治癒しますが、治療が不十分な場合には、リウマチ熱や腎炎等を合併することがあります。合併症を予防するため、症状が治まってからも、決められた期間は抗菌薬を飲み続ける必要があります。
飛まつ感染や接触感染、経口感染を防ぐため、手洗いの励行等の一般的な予防対策を実施しましょう。アルコール消毒も有効です。