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レジオネラ症について

ページID:[[open_page_id]] 更新日:2023年4月7日更新 印刷ページ表示

レジオネラ症とは

 レジオネラ症とは、レジオネラ属菌による感染症です。この病気は健康な人もかかりますが、幼児やお年寄り、あるいは他の病気などにより体の抵抗力が低下している人に発病のおそれが強いといわれています。

原因と感染経路

 代表的な病原体は、レジオネラ・ニューモフィラです。レジオネラ属菌は50種類以上(70血清群以上)の菌種があり、自然界の土壌や淡水(川や湖)に広く生息しています。このレジオネラ属菌が、消毒されていない水や、入れ替わりの少ない水、水温 20℃から50℃前後の水に混入した時、増殖するおそれがあると言われています。特に給水・給湯設備、冷却塔水、循環式浴槽、加湿器、水景施設などでレジオネラ属菌が見つかっています。

 レジオネラ症は、主にレジオネラ属菌に汚染されたエアロゾル(細かい霧やしぶき)の吸入などによって、細菌が感染して発症します。レジオネラ属菌はヒトからヒトへ感染することはありません。

エアロゾル感染

 レジオネラ属菌に汚染されたエアロゾルを吸入することによって感染します。
 代表的なエアロゾル感染源としては、冷却塔水、加湿器や循環式浴槽などが報告されています。

吸引・誤嚥

 エアロゾル感染以外に、温泉浴槽内や河川で溺れた際に汚染された水を吸引・誤嚥したことによる感染事例が報告されています。

土壌からの感染

 レジオネラ属菌が汚染された腐葉土の粉じんを吸い込んだことが原因と推定される感染事例が報告されています。 

症状

 レジオネラ症の主な病型としては、重症のレジオネラ肺炎と軽症のポンティアック熱が知られています。

 レジオネラ肺炎の潜伏期間は2日から10日です。全身倦怠感、頭痛、食欲不振、筋肉痛などの症状に始まり、咳や38℃以上の高熱、寒気、胸痛、呼吸困難が見られるようになります。まれですが、心筋炎などの肺以外の症状が起こることもあります。また、意識レベルの低下、幻覚、手足が震えるなどの中枢神経系の症状や、下痢がみられるのもレジオネラ肺炎の特徴とされています。軽症例もあるものの、適切な治療がなされなかった場合には急速に症状が進行することがあり、命にかかわることもあります。

 これに対して、 ポンティアック熱の潜伏期間は1日から2日です。発熱を主症状とし、全身倦怠感、悪寒、頭痛、筋肉痛などを伴いますが、肺炎症状はみられません。2~5日程度で自然治癒します。

 高齢者、糖尿病、慢性呼吸器疾患、悪性腫瘍、血液疾患、重喫煙者、大量飲酒者、免疫抑制剤使用者、臓器移植後、自己免疫疾患など感染防御機能が低下した患者では、肺炎を起こすリスクが高いので、特に注意する必要があります。

治療

 レジオネラ肺炎はレジオネラ属菌による細菌感染症なので、マクロライド系、ニューキノロン系やリファンピシン等の抗菌薬で治療することができます。早期診断、早期治療が重要です。
 これに対してポンティアック熱は、自然に軽快することが多く、抗菌薬なしでも数日以内に改善します。 

予防のポイント

 レジオネラ属菌は自然界に広く存在しており、私たちの周辺から完全に取り除くことは困難です。レジオネラ症を予防するためには、感染源でのレジオネラ属菌の増殖を防ぐことが重要です。

  • 超音波振動などの加湿器を使用するときには、水のつぎ足しはやめ、新しい水を使い、使用後はタンク内の水を抜いて乾かしましょう。レジオネラ属菌は60℃では5分間で殺菌されるので、水を加熱して蒸気を発生させるタイプの加湿器は感染源となる可能性は低いとされています。
  • 循環式浴槽(追い炊き機能付き風呂・24 時間風呂など)を備え付けている場合は、レジオネラ症を予防するため、浴槽内に汚れやバイオフィルム(生物膜。細菌で形成される「ぬめり」。)が生じないよう定期的に洗浄等を行うなど、取扱説明書に従って維持管理しましょう。汚れや「ぬめり」を落としてレジオネラ属菌が増殖しやすい環境をなくすことが大切です。 

診断・感染症法との関係

 診断は、抗原検査、抗体検査、鏡検・培養検査、遺伝子検査によります。

 感染症法上、四類感染症(全数把握対象)に定められており、診断した医師はただちに最寄りの保健所に届け出ることが義務付けられています。

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