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世界遺産登録の基準

ページID:0004462 更新日:2022年8月1日更新 印刷ページ表示

世界遺産登録について

世界遺産への推薦物件を評価する際に重要となるのが、「登録基準」です。これは世界遺産委員会が「世界遺産条約を履行するための作業指針」で定めたものです。世界遺産に登録されるためには、1.~10.の登録基準のうち、いずれか一つ以上に当てはまらなければなりません。

世界遺産条約第77節

本委員会は、ある資産が以下の基準(の一以上)を満たす時、当該資産が顕著な普遍的価値を有するものとみなす。

  1. 人間の創造的才能を表す傑作である。
  2. 建築、科学技術、記念碑、都市計画、景観設計の発展に重要な影響を与えた、ある期間にわたる価値観の交流又はある文化圏内での価値観の交流を示すものである。
  3. 現存するか消滅しているかにかかわらず、ある文化的伝統又は文明の存在を伝承する物証として無二の存在(少なくとも稀有な存在)である。
  4. 歴史上の重要な段階を物語る建築物、その集合体、科学技術の集合体、或いは景観を代表する顕著な見本である。
  5. あるひとつの文化(又は複数の文化)を特徴づけるような伝統的居住形態若しくは陸上・海上の土地利用形態を代表する顕著な見本である。又は、人類と環境とのふれあいを代表する顕著な見本である(特に不可逆的な変化によりその存続が危ぶまれているもの)。
  6. 顕著な普遍的価値を有する出来事(行事)、生きた伝統、思想、信仰、芸術的作品、或いは文学的作品と直接又は実質的関連がある(この基準は他の基準とあわせて用いられることが望ましい)。
  7. 最上級の自然現象、又は、類まれな自然美・美的価値を有する地域を包含する。
  8. 生命進化の記録や、地形形成における重要な進行中の地質学的経過、或いは重要な地形学的又は自然地理学的特徴といった、地球の歴史の主要な段階を代表する顕著な見本である。
  9. 陸上・淡水域・沿岸・海洋の生態系や動植物群衆の進化、発展において、重要な進行中の生態学的過程又は生物学的過程を代表する顕著な見本である。
  10. 学術上又は保全上顕著な普遍的価値を有する絶滅のおそれのある種の生息地など、生物多様性の生息域内保全にとっても最も重要な自然の生息地を包含する。

世界遺産に必要な「完全性」と「真実性」

世界遺産の登録にあたっては、登録基準のほかに、推薦物件が「完全性(インテグリティ)」、「真実性(オーセンティシティ)の条件を満たしているかどうかという点も重要になります。
「完全性」とは、物件に世界遺産の価値を構成する必要な要素がすべて含まれており、長期的な保護のための法律などの制度が確保されていることです。
「真実性」とは、主に文化遺産に求められるもので、建造物や遺跡が本当の芸術的・歴史的価値を保っているかどうかを指します。特に修復などが行われた物件の場合には、できるだけ創建時の建造物と同じ材料を使用し、構造、工法を採用する必要があります。
また、登録しようとする物件や地域そのもの(核心地域)だけでなく、周辺に利用制限区域である緩衝地帯(バッファゾーン)が設けられ、遺産の保全が重層的に図られているかどうかも重要な条件となります。

第78節

顕著な普遍的価値を有するとみなされるには、当該資産が完全性及び、又は真実性の条件についても満たしている必要がある。又、確実に保護を担保する適切な保護管理体制がなければならない。

(補足)このページの文章は、社団法人日本ユネスコ協会連盟『世界遺産年報2008』をもとに作成しました。

世界遺産とは