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インタビューに応じてくださったのは,地域密着型のデイサービス「デイサービス つなぐ」とフィットネス施設を経営する赤尾杉さんです。今回は,赤尾杉さんがどのようにして事業を立ち上げ,現在に至るまでの歩みを伺いました。
赤尾杉さんは水戸市出身で,元々は学校の教員として働いていました。30歳を迎えた際に,自分の新しいキャリアを模索し始めます。スポーツへの興味からフィットネスの道に進んだ後,介護デイサービス施設に勤務。ちょうどその頃,赤尾杉さんのお父さんが病気を患いデイサービスを利用することになったそうです。
「父はデイサービスを利用している中で,施設での活動が少し退屈だと言うことがありました。もっと楽しく,意味のある活動を提供できないかと思うようになりました。」と赤尾杉さんは創業のきっかけを振り返ります。
独立を決意した赤尾杉さんは,介護予防とフィットネスを組み合わせた新しい事業として「学校型のデイサービス」を考案しました。現在は「デイサービス つなぐ」で高齢の利用者に,教育現場で培った経験を活かし,脳トレや給食準備,さらには校歌斉唱など時間割を取り入れた活動を提供しています。
赤尾杉さんの独立には,家族のサポートが不可欠でした。特に,彼の母親は看護師としての経験があり,そのバックアップがデイサービス事業の立ち上げにおいて大きな支えとなったようです。一方で,事業の創業にあたっては「知識の不足」が壁になったそうです。経営に関する知識がなく,資金繰りや事業の進め方に悩んだ赤尾杉さんは,水戸商業・駐車場公社が主催する「みと創業支援塾」に参加しました。
「「みと創業支援塾」に参加して,必要な知識を学ぶことができました。同じように事業を始めた人々とのネットワークも非常に有益でした。最初は不安もありましたが,学びながら前に進むことができました。商工会議所の「起業・スタートアップセミナー」にも参加したことで先輩起業家の事業所訪問もでき,よい刺激を受けました。」と赤尾杉さんは語ります
現在,赤尾杉さんは,デイサービスを提供する傍ら,地域の健康づくりにも力を入れています。特に,シニア向けのキックボクシングリハビリは注目を集めており,腰痛予防や肩こり解消に効果的なプログラムを提供しています。
「フィットネスの重要性を地域の人々に伝えたいと思って,特にシニア層に向けたリハビリプログラムを導入しました。キックボクシングは体幹を鍛え,筋肉を柔軟にするのに効果的です。土日は地域の健康イベントとして,シニア層以外も対象としたフィットネスジムを開設しています。」と笑顔で話してくださいました。
また,「デイサービス つなぐ」には5人のスタッフが働いており,それぞれが専門的な役割を担っています。彼らとのチームワークも,事業成功の重要な要素です。
今後の展望としては,さらに多くの地域住民に健康を届けることを目指していますが,課題もあります。特に資金調達の面です。セミナーを通じてできた,他の起業家たちとのネットワークが重要であると語る赤尾杉さん。
「今後は,さらに事業を拡大していきたいです。同じように起業を考えている方々とも繋がり,共に成長できればと思います。」と意気込みを語ってくださいました。
起業を目指す人々へのアドバイスとして,赤尾杉さんは「自分を信じること」と「周りのサポートを大切にすること」を挙げました。自分の強みや情熱を見つけ,周囲との繋がりを活かしていくことが成功への道だと感じているようです。
「自分が何をやりたいのか,何に情熱を持っているのかを見つけて,それを形にするために必要な知識を積み重ねていくことが大切です!そして,周りのサポートを得ること。独りで悩んでいるときに,誰かと繋がることで解決の糸口が見つかることがあります。」と言葉をいただきました。
赤尾杉さんのインタビューから,地域密着型の事業運営における工夫や思いが伝わってきました。彼のように,経験を活かして地域貢献を目指す起業家が増えることで,さらに地域が活性化していくことを期待しています。
今回インタビューをさせていただいたのは,水戸市にある人気のベーカリー「good bakes」のオーナー,大内さんです。店舗開業に至るまでの道のりをお伺いしました。
大内さんの物語は,美容師としてスタートしました。実家が理容室だったこともあり,美容に関する専門学校へ通ったそうです。しかし,実際に東京で美容師として働いていたものの,「なんか違うな」と感じたとのこと。そんな中,帰郷して地元で勤めているときに,人生の転機が訪れます。
「23歳のときに,大震災が起きたことをきっかけに,助け合いが重要だと感じたんです。そのとき,人の役に立ちたい,誰かを感動させたいという思いが強くなって,何でもいいからやろうと思ったんです。」と語る大内さん。
その後,偶然訪れたベーカリーでパンの美味しさに感動し,パン作りの道を目指すことを決意したのです。「パンを作ることでお客さんを喜ばせる仕事もあるんだ」と感じ,未経験ながらもベーカリーの道へと進みました。
第一歩を踏み出した大内さんは,水戸市内の大手ベーカリーで製造スタッフとして働き始めました。そこで,自分の理想のベーカリーとは何か,具体的に考えることになります。
大手では,接客や店舗運営の学びはありましたが,大内さんの理想とするパン作りの形は異なったものでした。その後,個人経営のベーカリーへ転職し,理想をより具体的にしていきます。
ベーカリーを開業するには多額の資金が必要で,開業資金の調達に苦労した大内さん。自己資金が乏しく,銀行からの融資も難しいという現実に直面します。しかし,諦めずに数年間,自己資金を貯め,実績を作り続けました。
「自分の経営の実力を証明するために,まずは経営経験を積むことが大事だと思いました。そこで,とある複合施設で独立志向の人たちと一緒にベーカリーを運営することにしました。」と大内さん。
ここで得た経験は非常に大きく,経営のノウハウを実地で学ぶことができたと言います。その実績が銀行に認められ,ついに自分のベーカリーを開業することに成功しました。
水戸市での店舗開業場所選びについて,大内さんは慎重にリサーチを行いました。
大内さんは,「実際に泉町の近辺で半年間お客さんの流れを観察しました。結果として,周辺に百貨店や市民会館があるこの場所が最適だと感じました。お店を目指して通行する,いわばお客さんが集まりやすい場所を選ぶことが,成功の鍵だと思います。」と当時を振り返ります。
2023年に「good bakes」をオープンしてから約1年半が経ちます。大内さんは開店当初の不安を抱えながらも,お客さんの反応は想像以上だと感じているようです。
最初は駐車場がないことや,立地がに不安がありましたが,実際には口コミや地域の人々の支えで毎日たくさんの来客があります。他店にはないオリジナルのパンを展開し,人気を集めているのです。
しかし,課題もあります。「平日と土日で来店者数に大きな差があり,特に駐車場の問題が影響していると感じています。それでも,ポジティブな視点で言うと,お客さんとの直接的なコミュニケーションが強みとなっており,ソーシャルネットワーキングサービスよりも口コミでの集客が重要だと考えています。」と前向きな視点を聞かせてくれた大内さん。
「「good bakes」は今後もさらに成長していくことが目標だ」と大内さんは話します。特に,クオリティの高いパンを提供し,他のベーカリーにはない特徴を打ち出すことに力を入れているそうです。
「お客様にもっと価値を提供できるパンを作り,地域の皆さんに愛されるお店にしていきたいです。これからも地道に努力して,成長を目指していきます。」と今後の展望について,明るく話してくださいました。
大内さんの情熱とビジョンに満ちたベーカリーの物語は,今後も多くの人々に感動を与え続けることでしょう。中心市街地での今後のさらなる活躍に期待しています。