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「水戸藩の学問・教育遺産群」の審議結果全文

ページID:[[open_page_id]] 更新日:2022年6月13日更新 印刷ページ表示

提案に対する審議結果

平成20年9月26日、文化庁から提案に対する審議結果が発表されました。
水戸市と茨城県が共同で提案していた「水戸藩の学問・教育遺産群」は、全体としてカテゴリー2、弘道館とその関連資産のみカテゴリー1bになりました。

ここでいうカテゴリーの意味は、以下のように定義されています。

カテゴリー1

1a 提案書の基本的主題を基に準備を進めるべきもの

1b 主題に関する調査研究を行い、一定の方向性が見えた段階で準備を進めるべきもの

カテゴリー2

主題の再整理、構成資産の組み替え、更なる比較研究等を要するもの
以下に評価の全文を掲載します。

総合的評価

カテゴリー2に該当
(ただし、弘道館とその関連資産についてはカテゴリー1bに該当)

近世の日本は、当時の世界各国と比較して高い教育環境を整えており、明治維新後、日本が近代国家として急速な発展を遂げた背景を成す。
本資産は、学問・教育の施術を重視した水戸藩における学問・教育の関連資産等により構成され、近世の教育環境の重要な側面を示している。
近世の水戸藩が推進した学問・教育の施術により形成された一連の諸要素が遺存する資産として、価値は高い。
なお、近世の教育資産については、我が国の世界遺産暫定一覧表には未だ見られない分野の資産であり、弘道館について、その構成資産となり得るか否かについて十分に検討することが必要である。

課題等

顕著な普遍的価値

世界史的・国際的観点から、本資産が近世の有力な藩が推進した一連の教育関連資産の代表例・典型例として、顕著な普遍的価値を持つことの証明が不十分である。
なお、弘道館について、同種資産との比較研究を進めることにより、近世の教育資産が顕著な普遍的価値を持つか否かについて十分に検討することが必要である。

今後の課題

  • 当面、近世の教育資産に関する専門家による学術的な調査研究を十分に行い、主題及び主題に基づく資産構成に関して一定の方向性が見えた段階で、関係地方公共団体において準備を進めることが必要である。
  • 日本の近世における各藩の藩校など、国内外の同種の教育関連資産との比較研究を網羅的に進めることが必要である。
  • 真実性・完全性及び適切かつ十分な保存の観点から、以下の点について課題を確実に解決することが必要である。
    (日本の教育水準を高度に発展させる上で、江戸末期に造営された弘道館が、各藩の藩校運営に対して顕著な影響を与えたと証明できるか否かについて検討すること。)
    (弘道館の保存範囲については、完全性の観点から検証を行なうこと。)
  • なお、近世の有力な藩が推進した一連の教育関連資産に関しては、その全体像を明らかにする観点から、国内外の同種資産との比較研究を進め、適切な主題設定、資産構成について研究することが必要である。
  • 文化財としての保護が十分でないものについては、指定又は追加指定を行うことが重要である。

世界遺産暫定一覧表候補の文化資産とは

暫定一覧表に記載されなかった資産は、「世界遺産暫定一覧表候補の文化資産」と呼ばれます。
これは以下のようなものです。

  • 現時点では世界遺産としての顕著な普遍的価値を有する可能性が高いとまでは評価されなかったものであるが、我が国の歴史や文化を表す一群文化資産として高い評価を有すると認められる。
  • 今後、地方公共団体が中心となって、顕著な普遍的価値の証明等に向けた調査研究や、文化資産としての保護、まちづくり、地域づくりに活かすための取組等を推進することを期待。
  • 今後の取組の手順等によって、以下の通り分類。今後の作業の進展状況に応じて、世界遺産暫定一覧表への記載について検討。

(補足)このページの文章は、文化庁の文化審議会文化財分科会世界文化遺産特別委員会による「我が国の世界遺産暫定一覧表への文化資産の追加記載に係る調査・審議の結果について」を引用しています。