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地域の歴史的魅力や特色を通じて我が国の文化・伝統を語る内容を「日本遺産」に認定するとともに、その内容を語る上で不可欠な魅力ある有形・無形の文化財群を地域が主体となって総合的に整備・活用し、国内外に戦略的に発信することにより、地域の活性化を図ります。文化庁が平成27年度から新たに創設しました。
これまで、水戸市、足利市、日田市は、教育遺産の世界遺産登録を目指し、教育遺産世界遺産登録推進協議会を設立し、学術的な調査研究や普及啓発活動を推進してきました。平成27年2月には、同じく教育遺産を持つ備前市が協議会に参画することが決定し、平成27年3月、4市共同で、「近世日本の教育遺産群-学ぶ心・礼節の本源-」 を日本遺産に申請しました。
そして、平成27年4月、日本遺産に認定されました。
我が国では、近代教育制度の導入前から、支配者層である武士のみならず、多くの庶民も読み書き・算術ができ、礼儀正しさを身に付けるなど、高い教育水準を示しました。これは、藩校や郷学、私塾など、様々な階層を対象とした学校の普及による影響が大きく、明治維新以降のいち早い近代化の原動力となり、現代においても、学問・教育に力を入れ、礼節を重んじる日本人の国民性として受け継がれています。
水戸市:旧弘道館、常磐公園(偕楽園)、旧水戸彰考館跡、日新塾跡、大日本史
足利市:足利学校跡、国宝漢籍『礼記正義』『尚書正義』『文選』『周易注疏』、釋奠
備前市:旧閑谷学校、釈菜、備前国和気郡井田村延原家文書、熊沢蕃山宅跡、井田跡
日田市:咸宜園跡、日田市豆田町、廣瀬淡窓旧宅及び墓、長福寺本堂、桂林園跡、咸宜園関係歴史資料
【弘道館】
【足利学校】
【閑谷学校】
【咸宜園】
1841年、徳川斉昭(水戸藩第9代藩主)が創設した藩校。その建学の目的は、「教育によって人心を安定させ、教育を基盤として国を興す」というものでした。弘道館は儒学教育を基盤としながら、きめ細やかな教育体系を備えていました。
1842年、徳川斉昭は「心身の安寧がなくては学問の大成はおぼつかない」との信念から、弘道館と一対の教育施設として偕楽園を開園しました。当代随一の梅林の中で人々が詩歌に興じ、学業の疲れを癒しました。
1698年、徳川光圀(水戸藩第2代藩主)が開設した「大日本史」の編さん所です。テレビドラマ「水戸黄門」に登場した助さん(佐々宗淳)、格さん(安積澹白)は、彰考館の総裁を務めた有名な学者でした。
1820年ごろ、加倉井砂山(水戸郷士)が創設した私塾です。身分を問わず門戸を開放し、約30年間に学んだ生徒は1,000人を超えるとも言われ、徳川斉昭も高く評価していました。
徳川光圀によって編さん事業が開始され、約250年もの長い歳月をかけて完成されました。水戸彰考館跡に建つ二の丸展示館に刊行本が展示してあります。
国の財政支援を受けながら、4市連携のもと、情報発信、普及啓発等の事業に取組むことにより、弘道館などの国際的な知名度を高めるとともに、郷土愛を醸成するなど、観光や教育の振興、地域のブランド力の向上を図ります。
また、教育遺産の世界遺産登録に向けた機運の醸成にも繋げていきます。
水戸市内にある日本遺産構成文化財の所在地です。ぜひ一度、足を運んでみてはいかがでしょうか。