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ノロウイルスによる食中毒に注意しましょう
ノロウイルスの食中毒発生を予防しましょう!
ノロウイルスによる感染性胃腸炎や食中毒は、一年を通して発生していますが、特に冬季に流行します。
ノロウイルスは手指や食品などを介して、経口で感染し、ヒトの腸管で増殖し、おう吐、下痢、腹痛などを起こします。健康な方は軽症で回復しますが、子どもやお年寄りなどでは重症化したり、おう吐物を誤って気道に詰まらせて死亡することがあります。
ノロウイルスについてはワクチンがなく、また、治療は輸液などの対症療法に限られます。
従って、皆さまの周りの方々と一緒に、予防対策を徹底しましょう。
ノロウイルスによる食中毒について
ノロウイルスは、大きさがとても小さく、直径は、30~40ナノメートル前後です。
ノロウイルスは、ヒトの小腸粘膜で増殖するウイルスで、ヒトへの感染は、ウイルス粒子がわずか10個から100個程度で成立すると言われています。
食品を介した感染は、調理従事者などヒトの手などからノロウイルスが付着した食品を食べた場合やウイルスに汚染されたカキなどの二枚貝を生のままもしくは加熱不十分で食べた場合に起こります。このほかに、ウイルスに汚染された井戸水や簡易水道を消毒不十分で摂取した場合にも感染することがあります。
また、感染者の便やおう吐物に接触したりすることにより二次感染(感染症)を起こすことがあります。
感染するとどうなる?
潜伏期間(感染から発症までの時間)は、24~48時間で、主な症状は吐き気、おう吐、下痢、腹痛であり、発熱は軽度です。
通常、これらの症状が1~2日続いた後、治癒し、後遺症もありません。また、感染しても発症しない場合や軽い風邪のような症状の場合もあります。
発症した場合の治療法は?
現在、このウイルスに効果のある抗ウイルス剤はありません。このため、通常、対症療法が行われます。特に、体力の弱い乳幼児、高齢者は、脱水症状を起こしたり、体力を消耗したりしないように、水分と栄養の補給を充分に行いましょう。
脱水症状がひどい場合には病院で輸液を行うなどの治療が必要になります。
検査について
食中毒や集団感染の原因究明などの目的で、行政機関や研究機関等で実施される検査方法に、ウイルス学的な検査方法があります。
対象者のふん便やおう吐物を用いて、電子顕微鏡法、RT-PCR法、リアルタイムPCR法などの遺伝子を検出する方法でウイルスの検出を行い、診断します(リアルタイムPCR法ではウイルスの定量も行うことができます)。
ふん便には通常大量のウイルスが排泄されるので、比較的容易にウイルスを検出することができます。
保健所では、食中毒の疑いや集団感染などが発生した際に、RT-PCR法により検査を実施しています。
一般的な予防のポイント
食品の取扱い
一般にウイルスは熱に弱く、加熱処理はウイルスの活性を失わせる(失活化といいます。)有効な手段です。ノロウイルスの汚染のおそれのある二枚貝などの食品の場合は、中心部が85℃から90℃で90秒以上の加熱が望まれます。
このほか、生鮮食品などの食材は、使用前によく洗う、井戸水を使用する際は、消毒してから使うなど、対策をしましょう。
こまめな手洗い
手を洗うタイミングは、
- トイレに行ったあと
- 調理作業の前や切り替わり時
- 料理の盛り付けの時 などです。
衛生的な手洗いの実施には、二度洗いが効果的です。
しっかり消毒
調理器具などは、使用後に洗剤などで十分に洗浄し、消毒しましょう。
一般的な感染対策として有効な消毒用エタノールや逆性石鹸(塩化ベンザルコニウム)では、ノロウイルスを完全に失活化させられません。ノロウイルスを完全に失活化する方法としては、次亜塩素酸ナトリウム(注)や亜塩素酸水や加熱による処理があります。
(注)家庭用の次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素系漂白剤でも代用できます(使用に当たっては「使用上の注意」を確認しましょう)。
健康管理
普段から感染しないように食品の取扱いや家族の健康状態に注意しましょう。
おう吐物などの処理
おう吐物、便等は感染の原因になりやすいため、すみやかに処理をし、二次感染を防止しましょう。詳しくは、ノロウイルスについてのページをご覧ください。
食品等事業者の皆様へ
ノロウイルスは少ないウイルス量で感染するので、ごくわずかなふん便やおう吐物が付着した食品でも多くのヒトを発症させるとされています。調理施設等の責任者は、下痢やおう吐等の症状がある方を、食品を直接取り扱う作業に従事させないようにすべきです。
基本の注意事項
食品を取り扱う従事者を介して食品を汚染することがないよう、次の事項に気をつけましょう。
- 日頃から自分自身の健康状態を把握し、下痢やおう吐、風邪のような症状がある場合には、調理施設等の責任者(営業者、食品衛生責任者等)にその旨をきちんと伝える(ノロウイルスは下痢等の症状がなくなっても、通常では1週間程度、長いときには1ヶ月程度ウイルスの排泄が続くことがあるので、症状が改善した後も引き続き注意し、直接食品を取り扱う作業をさせないようにする)
- 作業開始前、作業の切り替わり時、用便後など、衛生的な手洗いを実施する(アルコールが効きにくいウイルスなので、手洗いによって物理的に洗い流すようにする)
汚染を防ぐには
調理施設等の責任者は、汚染を防ぐために、次の事項に留意しましょう。
- 外部からの汚染を防ぐために客用とは別に従事者は専用のトイレを利用する
- ドアのノブ等の手指の触れる場所等の洗浄・消毒等の対策を取る(消毒液を保管しなければならない場合は、消毒液の入った容器は、誤って飲むことがないように、消毒液であることをはっきりと明記して保管すること)
調理器具等は、洗剤などを使用し十分に洗浄した後、次亜塩素酸ナトリウム(注)(塩素濃度約200 ppm)や亜塩素酸水(遊離塩素濃度25 ppm(含量 亜塩素酸として0.05% 約500 ppm以上))で浸すように拭くことでウイルスを失活化できます。
まな板、包丁、へら、食器、ふきん、タオル等は亜塩素酸水(遊離塩素濃度25 ppm(含量 亜塩素酸として0.05% 約500 ppm以上))による浸漬や、熱湯(85℃以上)で1分以上の加熱が有効です。
なお、二枚貝などを取り扱うときは、専用の調理器具(まな板、包丁等)を使用するか、調理器具を使用する度に洗浄する、消毒する等の対策により、他の食材への二次汚染を防止するよう、特に注意しましょう。
(注)家庭用の次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素系漂白剤でも代用できます(使用に当たっては「使用上の注意」を確認しましょう)。
また、食品を加熱する際は、中心部の温度が85~90℃で90秒以上加熱することでウイルスを失活化できます。
食中毒の疑いがある場合
水戸市内の飲食店、施設の利用者から胃腸炎症状の発生について相談があった場合は、水戸市保健所までご連絡ください。
ノロウイルス食中毒予防対策のリーフレット
ノロウイルスによる食中毒の予防対策 [PDFファイル/755KB]
厚生労働省の関連ページ<外部リンク>