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高齢者の保健事業と介護予防等の一体的実施事業に取り組んでいます
実施の背景と目的
現在の医療保険制度では、75歳に到達するとそれまで加入していた国民健康保険制度等から、後期高齢者医療保険制度へ移行するため、74歳までの健康状態や生活機能の課題に保健事業や介護予防事業が適切に接続されてこなかったという課題がありました。
このため、令和2年度に「医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律」が施行され、国により、市町村が高齢者の保健事業と介護予防を一体的に実施するための体制が整えられました。
水戸市においても、この課題を解消し、高齢者が地域で健康的な生活を送れるよう、令和5年度から保健事業と介護予防の一体的実施事業に取り組んでいます。
引用:厚生労働省ホームページ「高齢者の保健事業 基礎資料」より
実施内容
高齢者の保健事業と介護予防等の一体的実施事業では、医療と介護のデータを分析して、地域の健康課題を抽出したうえで、市民が集う健康教室などの活動の場で、課題解決のため健康教育や健康相談などを行う「ポピュレーションアプローチ」と健診結果や医療機関の受診状況から、対象者を抽出し、保健指導や保健相談等の寄り添った支援を行う「ハイリスクアプローチ」を実施しています。
本市の健康課題
後期高齢者医療制度に加入される市民の医療費の内訳をみると、高血圧や心疾患、脳血管疾患などの循環器系の疾患にかかる医療費が最も高くなっております。また、県と比べ、循環器疾患に加え、腎不全等の尿路器系の疾患、糖尿病や脂質異常症などの医療費が高い傾向にあります。
要介護認定を受けている方の抱える疾患としては、要介護者の有病率の経年変化のグラフからも分かるように、心疾患が最も多いです。近年、脳疾患は減少傾向にありますが、糖尿病が増えています。
高血圧や糖尿病は、心疾患や脳血管疾患、さらには慢性腎臓病などの原因となります。そのため、高血圧対策と糖尿病対策が課題です。
また、筋骨格系疾患への対策も課題であり、フレイル予防の普及啓発にも力を入れる必要があります。
- 国保データ(KDB)システムとは
- 保険者の委託を受けて、茨城県国民保険団体連合会が管理する「健診、保健指導」「医療」「介護」の情報を利活用し、統計情報や個人の健康に関する情報を作成するシステムです
通いの場への関与等の取組(ポピュレーションアプローチ)
健康教室「いきいき健康クラブ」に医療専門職が伺い、フレイルチェックや、運動、栄養、口腔等のフレイル予防に関する健康教育と生活習慣病重症化予防の健康教育や健康相談を行います。
このほか、フレイル予防、オーラルフレイル予防、高血圧予防に関する普及啓発活動を行っております。
高齢者に対する個別的支援(ハイリスクアプローチ)
本市の健康課題を踏まえ、健診の結果等から対象者には、保健師や歯科衛生士などの専門職による訪問の保健指導など、個別支援を行います。
- 生活習慣病重症化予防
健診結果から、生活習慣病の恐れのある方に、重症化を予防するために訪問等にて保健指導を行います。 - 糖尿病性腎症重症化予防
血糖値が高く糖尿病の恐れがある方で、まだ医療機関を受診していない方と治療を中断されていると思われる方に、受診勧奨等のほか、訪問等にて保健指導等を行います。 - 健康状態不明者対策
健康状態が不明な方の健康状態を把握し、健診や通いの場への参加勧奨のほか、必要に応じ、医療や介護等のサービスにつなげます。 - 口腔機能低下予防
口腔機能低下の恐れのある方に、訪問等にて口腔に関わる相談、保健指導を行います。
事業の評価
本事業の推進に当たっては、それぞれの取組において、目標指標を設定し、PDCAサイクルにより進行管理を行い、見直しを行いながら、事業を推進しています。
「高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施事業」のデータ分析に関する研究について
水戸市と筑波大学医学医療系地域医療教育学では、医療、介護、健診等の情報を一体的に活用して、効果的な健康施策を立案、検証するために必要な分析を行うことを目的に、令和4年7月に協定を締結し、連携事業を進めています。