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【令和7年度いばらき県央地域連携中枢都市圏連携事業】ドローンを活用した水稲直播実証
概要
いばらき県央地域スマート農業推進協議会では,IT等を活用し農業の作業効率の向上を図るスマート農業を推進するため,ドローンを活用した水稲直播実証実験を行います。
水稲の直播栽培は,移植栽培と比べて,育苗等の労働時間の短縮,苗運びなど重労働の軽減を可能にし,生産性の向上に繋がると期待されています。稲の生育への不安から実施例が少ない現状がありますが,担い手不足など様々な課題を解決するためには,生産性の向上が必要であり,水稲直播の普及は持続可能な農業の実現により近づくと考えられています。
スマート農業の推進のため,協議会構成各市町村(笠間市,ひたちなか市,那珂市,小美玉市,茨城町,大洗町,城里町,東海村)や茨城県などの関係機関と連携しながら,当事業を実施します。
実証実験スケジュール
ドローンを活用した水稲直播実証実験を,令和7年度は,ひたちなか市・城里町・東海村の会場(ほ場)において,以下のとおり実施します。雨天,強風の場合は中止します。
水稲直播【5月8日】
| 日付 | 会場(ほ場) |
|---|---|
| 5月8日(木曜日) 9時00分~ | ひたちなか市 |
| 5月8日(木曜日) 11時00分~ | 東海村 |
| 5月8日(木曜日) 14時00分~ | 城里町 |
除草剤散布(1回目)【5月8日】
除草剤散布(2回目)【5月下旬】
追肥【7月中旬】
病害虫防除(1回目)【7月下旬】
病害虫防除(2回目)【8月中旬】
収穫【9月中旬~下旬】
※太字は,ドローンを活用して実施予定。
実証実験の様子
ひたちなか市 ~播種,除草剤散布1回目~
【令和7年5月8日(水曜日)実施】
ドローンに興味のある農業者や,農業関係機関の担当者等,計22名が見学に参加しました。
直播用に「リゾケア」コーティングの処理をした飼料用米多収量品種「夢あおば」。「リゾケア」コーティングは,苗立ちが良いのが特徴です。

今回使用したドローンはDji社の「Agras T10」
種子の準備,機材の調整の後,約4,500平方メートルのほ場に直播,除草剤散布を行いました。所要時間は計30分程度でした。

東海村 ~播種,除草剤散布1回目~
【令和7年5月8日(水曜日)実施】
ドローンに興味のある農業者や,農業関係機関の担当者等,計26名が見学に参加しました。

今回使用したドローンはDji社の「Agras T25」
種子の準備,機材の調整の後,約5,300平方メートルのほ場に直播,除草剤散布を行いました。所要時間は計35分程度でした。

城里町 ~播種,除草剤散布1回目~
【令和7年5月8日(水曜日)実施】
ドローンに興味のある農業者や,農業関係機関の担当者等,計27名が見学に参加しました。

今回使用したドローンはDji社の「Agras T10」
種子の準備,機材の調整の後,約4,200平方メートルのほ場に直播,除草剤散布を行いました。所要時間は計30分程度でした。
試験協力先
JA全農いばらき様:ドローンの操縦等
シンジェンタジャパン株式会社様:種子への直播用コーティング処理
生育管理
直播,除草剤散布後は,各ほ場とも田の水位を管理し,稲の生育を促しました。
また,以下のとおり生育管理を行っています。
今後の各ほ場における稲の生育状況等については,随時更新していきます。
除草剤散布 2回目
稲の生育ステージは分げつ期に入り,まめつぶ剤を使用し,2回目の除草剤散布を行いました。
- ひたちなか市,東海村,城里町 【令和7年6月1日~2日 実施】
5月末の稲の様子(城里町)

生育調査 1回目
6月中旬に各地域で生育調査を実施しました。結果は以下の通りです。
いずれのほ場も,苗立数は県の目標値である60本/平方メートルを超えていました。各ほ場とも生育ステージは分げつ期に入り,茎数は1株当たり3~5本程度に増え,順調に生育しています。なお,ひたちなか市のほ場ではホタルイおよびコナギ,城里町ではコナギの雑草発生が見られました。
・苗立数調査結果
| ひたちなか市 | 東海村 | 城里町 | |
|
面積(a) |
45.0 |
53.0 |
41.9 |
|
播種日 |
5月8日 |
5月8日 |
5月8日 |
|
調査日 |
5月27日 |
5月27日 |
6月18日 |
|
苗立数(本/平方メートル) |
62.7 |
116.0 |
75.6 |
6月中旬の各ほ場の様子
ひたちなか市 東海村
城里町

中干し~除草剤散布
・6月下旬
各ほ場にて中干しを実施しました。適切な水管理により,根の発育を促進し,土壌を整えました。
・7月下旬
各ほ場でドローンを活用し,追肥を行い,効率的に肥料を散布しました。これにより,作物の健全な成長をサポートしています。
・7月下旬〜8月上旬
薬剤アミスタートレボンSeを使用した空中散布により,第1回目の病害虫防除を実施し,カメムシ等の被害軽減に努めました。
・8月中旬
薬剤キラップフロアブルを使用した空中散布により,第2回目の病害虫防除を実施し,更なる被害軽減に努めました。
8月中旬の各ほ場の様子
ひたちなか市

東海村

城里町

ひたちなか市…鳥害,虫害を受けた箇所もなく,稲の生長は良好です。
東海村…鳥害,虫害を受けた箇所もなく,稲の生長は良好です。
城里町…一部発育旺盛による倒伏が見られますが,鳥害,虫害を受けた箇所もなく,稲の生長は良好です。
収穫
収穫の適期と判断し,下記の日程で収穫を実施しました。なお,東海村のみ機械トラブルにより,収穫が遅れました。
- ひたちなか市 【令和7年9月11日 実施】
- 東海村 【令和7年10月8日 実施】
- 城里町 【令和7年9月24日 実施】
ひたちなか市

東海村
城里町
一部倒伏等はありましたが,問題なく収穫が出来ました。
実証結果
| 実証ほ場 | ひたちなか市 | 東海村 | 城里町 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 面積(a) | 45a | 53a | 42a | ||||
| 種子名 | 夢あおば | 夢あおば | 夢あおば | ||||
| 耕耘時期 | 4月下旬 | 4月下旬 | 4月下旬 | ||||
| 播種日 | 5月8日 | 5月8日 | 5月8日 | ||||
| 播種量(kg/10a) | 3.4kg/10a | 3.5kg/10a | 3.5kg/10a | ||||
| 1回目除草剤実施日 | 5月8日 | 5月8日 | 5月8日 | ||||
| 2回目除草剤実施日 | 5月下旬 | 5月下旬 | 5月下旬 | ||||
| 苗立数(本/平方メートル) | 62.7 | 116.0 | 75.6 | ||||
| 追肥実施日 | 7月18日 | 7月20日 |
7月22日 |
||||
| 1回目病害虫防除実施日 | 7月下旬 | 7月下旬 | 7月下旬 | ||||
| 2回目病害虫防除実施日 | 8月12日 | 8月12日 | 8月12日 | ||||
| 出穂期 | 8月2日 |
8月2日 |
8月2日 | ||||
| 収穫 | 実施日 | 9月11日 | 10月8日 | 9月24日 | |||
| 単収(kg/10a) | 626kg/10a | 700kg/10a | 623kg/10a | ||||
結果として,いずれのほ場においても飼料用米の交付金の基準値(505~535kg)を上回る収量が得られました。
昨年度は,収量が基準値の半分程度であったことから,本年度は収量確保を目的として改善策を実施しました。
昨年度は晩生品種「月の光」を用い,5月中下旬に播種した結果,地域の主流品種である「コシヒカリ」と比べて出穂期が24日遅れました。このため、カメムシによる被害が集中したと推察され,基準収量を大きく下回りました。そこで本年度は,品種を早生品種「夢あおば」に変更し,播種時期を5月上旬にし,収穫までの工程を前倒ししました。加えて,カメムシ被害軽減を目的として,ドローンによる2回目の病害虫防除を実施しました。その結果,すべてのほ場において飼料用米の基準収量を十分に上回る収量が確保されました。
なお,ひたちなか市のほ場の一部においては,2回目の病害虫防除を実施しない区を設け,1回防除と2回防除による効果の差を測定しました。その結果,斑点米の発生率は,1回防除区で0.23%,2回防除区で0.10%となり,2回防除でカメムシによる斑点米被害の低減が確認されました。本実証では飼料用米を使用しましたが,同様の変化は主食用米においても発生すると見込まれております。等級が特に重要となる主食用米において,この差は非常に重要です。
また,労働時間につきましては,播種および除草剤散布を含め,収穫までに要した作業時間を移植栽培と比較したところ,ひたちなか市では約70%,東海村および城里町では約50%削減されており,作業の省力化に大きく貢献することが示されました。(下表参照)
|
区 |
ひたちなか市 |
東海村 |
城里町 |
||||||
|
ドローン播種 |
移植栽培 |
ドローン播種 |
移植栽培 |
ドローン播種 |
移植栽培 |
||||
|
作業内容 |
作業時間 |
慣行比 (%) |
作業時間 |
作業時間 |
慣行比 (%) |
作業時間 |
作業時間 |
慣行比 (%) |
作業時間 |
|
種子消毒・播種・育苗管理※1 |
0.00 |
0 |
2.80 |
0.00 |
0 |
2.80 |
0.00 |
0 |
2.80 |
|
肥料散布 |
0.04 |
100 |
0.04 |
0.19 |
100 |
0.19 |
0.19 |
100 |
0.19 |
|
耕起 |
0.11 |
100 |
0.11 |
0.38 |
100 |
0.38 |
0.68 |
100 |
0.68 |
|
代かき |
0.44 |
100 |
0.44 |
1.51 |
100 |
1.51 |
0.64 |
100 |
0.64 |
|
田植え |
0.00 |
0 |
0.41 |
0.00 |
0 |
0.40 |
0.00 |
0 |
0.40 |
|
ドローン播種 |
0.08 |
- |
0.00 |
0.07 |
- |
0.00 |
0.06 |
- |
0.00 |
|
除草剤散布※2 |
0.02 |
- |
0.00 |
0.02 |
- |
0.00 |
0.02 |
- |
0.00 |
|
収穫 |
0.5 |
100 |
0.5 |
1.06 |
100 |
1.06 |
0.89 |
153 |
0.56 |
|
合計 |
1.19 |
28 |
4.3 |
3.23 |
51 |
6.34 |
2.48 |
47 |
5.27 |
※1 移植栽培の種子消毒・播種・育苗管理の作業時間は,茨城県作物作型経営指標より抜粋
※2 除草剤散布は直播栽培で2回,移植栽培で1回とし,直播栽培の初期剤散布時間のみを記載。
総評
ドローンを活用した水稲直播栽培において,適切な品種選定,適期播種及びカメムシ等の病害虫防除の徹底により,基準収量を上回る収量が確保されることを実証しました。また,ドローン湛水直播の作業時間は移植栽培と比較して50~70%削減され,ドローンの活用による作業効率の向上を実証しました。当協議会では,今後ともスマート農業機械の有用性について,実証を通して周知してまいります。








