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包丁一丁で華麗に大根むき花
大根むき花
元石川町に古くから伝わる大根むき花。一つの大根、一丁の包丁だけで、ボタンやキク、アヤメなどを本物そっくりに作り出す民芸で、市の無形民俗文化財に指定されています。その始まりは江戸時代と考えられています。
一枚の「かつらむき」から
大根むき花は、一枚の「かつらむき」からできています。ボタンは、初めに花びらの先端となる細かい切り込みと、花びら一枚一枚に分けるための切り込みを入れ、それから「かつらむき」をしていきます。
「かつらむき」をしたら丸めて広がらないように爪楊枝などで留め、水につけてから花びらの先に丸みをつけていきます。
白い大根で作れば真っ白な花に。赤大根で作るとほんのり紫がかった花に仕上がります。
キクは、花びらとなる切り込みを入れたあと中心から包丁を入れて、くるくると回しながら切っていくと、花びらが美しく重なっていきます。初めの切り込みが深すぎてしまうと、かつらむきの途中で花が切れてしまうため、慎重に。深く包丁を入れてしまったときは、一旦大根を切ってやり直します。
花びらの先まで美しく
美しさを保てるのは約2時間。霧吹きで水をあげるなど、丁寧に手入れをしても2日間。材料が生の野菜ということもあり、鮮度がカギとなります。特に白い大根は、翌日には色が変わってきてしまうことも。厚さ1ミリにも満たない、完成したばかりのむき花は花びらの先まで瑞々しく、透明感が際立ちます。
展示をする際には、本物の枝や葉のほか、つぼみや開きかけの形をしたむき花を用意し、リアルな様子を再現。毎年1月に水戸市植物公園で実演・展示をしているほか、水戸市郷土民俗芸能のつどいでもその技を披露しています。
水戸市植物公園Instagramより
「水むき3年 花8年」の修練
こう話すのは、40年以上大根むき花を続ける、大根むき花保存会会長の皆川守さん。
保存会には約20名の会員がいます。何十年も続けている方もいれば、始めて数年の方も。10月から翌年3月までの毎週土曜日、地域の集会所に集まって取り組んでいます。
教本はありません。包丁の使い方から、先輩たちに教わりながら学んでいきます。
技の習得には「水むき3年 花8年」といわれており、基本のかつらむきは特に重要。少しでも厚みがあると巻いている途中で折れてしまうため、薄さを保つ集中力が必要です。
受け継がれていく一丁の技
必要なものは包丁と大根だけ。会員の多くが自宅の畑で採れた大根を使っていますが、スーパーで売っている大根でもできるそう。年齢や経験を問わず、誰にでも門戸が開かれている大根むき花の世界。百数十年続く、全国でも類を見ないこの伝統の技は、時代を超えて新たな芽吹きを迎えます。
大根むき花の歴史などは市教育委員会のページをご覧ください。


