[水戸市シティセールスマガジン]

MITONOTE

みとで育む

展望台で子供たちと女性が遊ぶ

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Magazine


2023

子どもの笑顔と家族の絆を育む、
水戸での暮らし

親子がともに笑い、ときに怒り、一緒に泣いて、また笑い合う─ 子育て中は、ころころと変化する子どもの感情表現にときにとまどいながらも、その輝く笑顔に、家族はかけがえのない喜びを感じ愛情と絆を深めていきます。「子どもの笑顔」をつくるのは、そばにいる「家族の笑顔」にほかなりません。家族が笑顔で子どもと向き合える環境づくりこそが、子育てに優しいまちづくりへとつながります。
今回のMITONOTEは「みとで育む」と題し、子育て中のご家族など5組にスポットを当て、水戸市の子育て環境についてさまざまな角度から率直にお話しいただいています。市民として感じる身近で豊かな自然環境の魅力、暮らしの利便性、そして市が取り組むさまざまな子育て支援策など、水戸で暮らすご家族の生の声をお届けします。
子育て中の皆さまにとって少しでもお役に立てば幸いです。

CONTENTS

[インタビュー]

水戸での子育てと
仕事のあり方・くらし方

宮﨑 広恵さん/中井川 優さん/籾山 旭太さん/ 大森 侑子さん/青野 朱実さん

[子育て支援情報]

水戸での子育てを楽しもう!

表紙写真:「森っこ」を楽しむ子どもたちと代表の宮﨑さん。

インタビュー

水戸での子育てと
仕事のあり方・くらし方

インタビュー01

家族3人並んで座っている

子どもを一緒に連れていける、
身近な自然がたくさんあるところが、
水戸のいちばんの魅力。

宮﨑 広恵さん(堀町在住)
[長男10歳・次男6歳]

 水戸に来たのは、12年前くらいです。夫とは、同じ会社に勤めているときに出会い、勤務地である栃木県茂木町へのアクセスがよいこと、夫の出身地が近いことから、水戸市を居住地に選びました。2年後に夫の転勤に伴い、三重県鈴鹿市に3年ほど行き、そこで長男を出産しまして、再び転勤で水戸に戻って、次男を出産しました。

複数人で山道を歩く
展望台でピクニックする

上)「森っこ」でのひとコマ。水戸市森林公園大鍋展望台までは、同公園の駐車場から大人の足で10分くらい。親子と一緒に散策しながらのんびり歩く。 下)「森っこ」を始めるきっかけになった大鍋展望台にて。

 今は、隣町の茨城町にある「しもはじ埴輪キャンプ場」に勤務しながら、2017年に立ち上げた「森っこ」という、親子で森あそびを楽しむ会の代表を務めています。

 私が自然と深くかかわるようになったきっかけには、高校生のときにバイクで一人北海道を訪れた際に得た開放感が原体験になっています。独身時代には、アジアやアメリカ大陸など、機会を見つけては出かけ、自然に寄り添い、ともに生きることがいかに大切なことかをあらためて思い知りました。
 森っこを始めたのは、次男が8か月ぐらいのときでした。おんぶ紐で次男を背負いながら水戸市森林公園の中を、大鍋展望台という素晴らしい見晴らしの場所に向かって歩いていたら、ものすごく気持ちいい風が吹いてきまして。「きっと私みたいに赤ちゃん連れでもこんなふうに森の中で過ごしたい人たちはいるだろうなぁ」と思ったことがきっかけでした。

 水戸の魅力は、身近なところに豊かな自然がたくさんあることだと思います。乳幼児を連れて深い自然の中に行くことは難しい。でも、水戸の身近な自然の中でなら十分に楽しく遊べるんです。森林公園のほかにも、千波湖周辺や逆川緑地、保和苑、渡里湧水群といった、水が流れていて、植物が茂っていて、いろいろな昆虫と会える自然豊かな場所がたくさんあります。
 森っこの活動は、とてもゆるいんです。あまり規則でガチガチにしたくないので予約は不要、乳幼児連れの保護者の方なら誰でも参加できます。お弁当を持ってきてもらうのですが、お弁当づくりを頑張りすぎないこともルールのひとつです。「自然の中で食べればなんでもご馳走」ですから。

丸太に家族3人並んで座っている
冬に撮った家族写真

上)「しもはじ埴輪キャンプ場」(茨城町)には毎週末子どもたちと滞在。敷地の隣にある森林の保全・整備地で。下)ご主人の勤務地(栃木県茂木町)へのアクセスも便利。冬は奥日光に家族でスキー&観光旅行。

 毎回テーマを決めて3時間半くらい自然の中で遊びます。参加するきっかけは子どものためだったけれど、そのうちお母さんのほうが楽しくなるというのが、定番のパターンです。
 森っこの活動のたびに実感するのは、子どもの笑顔をつくるのは、お母さんの笑顔だということです。うちの息子たちも森っこのことをとても好きでいてくれますが、それは、私自身がすごく楽しんでいることも大きいのだと思います。

 一方、夫はずっと窓辺で本を読んでいるような典型的なインドア派です。平日は本当に積極的に育児や家事をしてくれています。何より森っこの活動を続けていけるのは、夫の理解があってこそなので、彼の存在には日々感謝しています。

Profile

宮﨑広恵(みやざき ひろえ)さん

東京都東村山市出身・1981年9月27日生まれ
森っこ 代表/株式会社A・M・Wしもはじ埴輪キャンプ場 スタッフ グリーンセイバーマスター、森林セラピーガイド、 ネイチャーゲームリーダー

宮﨑広恵さん

インタビュー02

家族で並んで座っている

子どもたちが住むまちを愛するように。
保護者の声を積極的に届けて目指す、
子どもにも優しい環境づくり。

中井川 優さん(浜田町在住)
[長女8歳・次女6歳・三女2歳]

 私は令和4年度、次女が通う浜田認定こども園のPTA会長を務めました。会社にお願いして勤務シフトをやりくりしたり、年休を取ったりしながらPTA活動に参加しました。特にコロナ対策の緩和で3年ぶりに夏祭りやマラソン大会などのイベントが再開し、前年からの引き継ぎにないことばかりで苦労しました。

庭先で楽しくプール遊び
灯籠流しのイベントで子供たちピースをする

上)仲の良い三姉妹。夏は庭先で楽しくプール遊び。下)家族が暮らす水戸市の下市地区は、下町風情にあふれる地域。夏に行われる備前堀での灯篭流しは、子どもたちの記憶に残したい風景のひとつ。

 会長職は、長女が入園したころから親しくしていた前会長から夫婦どちらかにお願いしますという話があり、妻は表に立つのが苦手というので私が引き受けることになりました。会長は働いていないお母さんが就くのが常だったので、会社員のしかも男性の私が就くのは異例なことだったと思います。
 これからは働くお母さんが増えてくると思いますし、外国籍のお母さんも増えています。今まで通りの運営では、引き受け手がいなくなってしまいます。そこで私が会長でいるうちに、できるだけ会議や運営面の効率化を図りました。ほかの役員の皆さんの協力もあって何とか乗り切れたと思います。
 そのほかに、水戸市国公立幼稚園、認定こども園保護者連絡協議会の会長も務めました。これは、とてもやりがいがありました。市内の各幼稚園の会長らと各園が抱えている問題や保護者の声をまとめ、市に要望書を提出しました。また、担当課の方に私たちで行った講演会に来ていただくなど、関係性を深めることができました。各園の保護者の声を市に届けることは大切ですし、子育て環境の改善につながると思います。

 

 私は、子の躾は母親がやる方がいいと思っています。やっぱり母親はすごいです。妻は幼稚園から帰って来た子どもの表情で、気持ちがわかると言います。例えば、つらかったときの話を聞くと自分が体験したかのように一緒になって泣いている。常に子どもの目線に立って考えられるところは本当に敵わない。叱るときはその理由を順を追って説明して叱ります。妻が子どもを叱ったら私がなだめる役にまわったり、逆に妻にフォローしてもらったり。だから私は、妻が子育てに注力できるよう、ほかの家事は担当することで環境をつくっています。あえて言うなら、妻が子育てしやすい環境を整えていくことが、父親の役割なのかなと思っています。

三女が誕生した際の大宮まつりで
偕楽園で開催された水戸梅まつりで、水戸黄門さまご一行と記念写真

上)三女が誕生した際のお宮参りで。普段よりも少し神妙な面持ち。下)偕楽園で開催される水戸の梅まつりも、子どもたちに伝えたい美しい景色のひとつ。記念に水戸黄門さまご一行と記念撮影。

 現在住んでいる浜田学区には備前堀があり、下町の雰囲気があって好きです。吉田神社のお祭りも楽しいです。また、この辺りはかつて水田地帯だったことから、カエルを大切にするという風習も残っていて、まちのあちこちにカエルのオブジェが置かれています。そういう地域性も大好きです。水戸を大好きな人たちがいて、一緒に行動を起こすことでまちの活気もでてくると思います。子どもたちが水戸を好きでいてくれるように、一緒になって楽しい思い出をたくさんつくりたいです。そうすることで、私にとっても子育てが良い思い出になると思います。

Profile

中井川優(なかいがわ ゆう)さん

茨城県ひたちなか市出身・1988年3月21日生まれ
会社員/元水戸市立浜田認定こども園 PTA会長/元水戸市公立幼稚園PTA 会長

中井川優さん

インタビュー03

家族の写真

子育て支援サービスを最大限に活用して、
かけがえのない時間を存分に楽しむ。

大森 侑子さん(内原町在住)
[長男4歳・長女2歳・次男0歳]]

 私は小学校の教員ですが、夫婦で話し合い「子育てに集中する期間を設けるのがいちばん」という考えに至り、長男を出産後、長女、次男と3人目が生まれた現在まで、継続して育児休暇を取り、子育てに専念しています。子育てにおいて、家族のサポートはとてもありがたいですね。特に今は乳幼児がいるので、なおさらです。

笠間市にある芸術の森公園で子供たちがトンボ採取
ブランコに乗って遊んでいる

上)水戸市に隣接する笠間市の「芸術の森公園」にて、子どもたちがそれぞれ採取したオニヤンマとノシメトンボを手に。下)休日にはご主人が率先して子どもたちと遊んでくれるそう。

 夫の勤務先は育休取得や子育てへの関わりを積極的に支援してくれています。夫は、3人の出産時にはそれぞれ1か月の育休を取ってくれました。今も幼稚園への送り迎えや家事の手伝いなどを引き受けてくれています。また、幸い私の実家が近くにあるので、両親にはいろいろと助けてもらっています。
 比較的恵まれた子育て環境にあっても、育児をしているとどうしてもストレスは溜まります。イライラしたり、精神的に煮詰まってしまったり。私の場合は両親に頼れないときは、地域の子育て支援サービスを利用するようにしています。ほかの大人たちがいる環境に身を置くだけで、心の状態が変わることはよくあります。

 「乳幼児学級タンポポ」は、0歳から4歳までの未就園児とその保護者を対象にして1年単位で開催される教室です。1クラスは25家族くらいで、10名ほどの保育士や子育てサポーターの方が見守りや遊びの指導をしてくれます。遊具も充実していて、子どもたちは自由に遊べますし、皆で一緒にリトミックで体を動かす時間もあります。保護者は、お母さんだけでなく、ほかの家族の方が参加されることも。子どもにとっては、ほかの子どもと触れ合う機会になり、保護者にとっても自然に子育てのことを話せる場となっています。
 1回が1時間半で、月2回という長さ・回数も、ちょうどいいですね。自由に出入りできる雰囲気なので、遅れてしまっても気がねすることもなく、途中で抜けてもかまわない。保護者の負担を減らすためのそういった配慮がとても嬉しいです。
 「タンポポ」のほかにも、水戸市では各市民センター「子育て広場」という遊びの場が週に1~2回開設されていたり、市内に6か所ある市立図書館で読み聞かせの時間があったりと、地域に密着した子育て支援サービスがいろいろと開催されています。

乳幼児学級タンポポで赤ちゃんが風船で遊ぶ
仲良し兄弟の3ショット

上)乳幼児学級タンポポの様子。タンポポがあることで、「子どもを家とは違う環境に連れ出すきっかけになっているので、とてもありがたいです」と大森さん。 下)仲良しきょうだいのスリーショット。

 私は、「タンポポ」をメインにしていますが、ママ友の中には、「子育て広場」をうまく利用して、毎日のように通っている人もいます。市民であればどこの市民センターでも利用することができますので、うまく自分のペースや好みに合わせて利用するとよいと思います。
 水戸市では、「新生児訪問」や「こんにちは赤ちゃん訪問」といった、保健師や育児アドバイザーが、身体測定や育児相談に乗ってくれる制度があります。そこで子育て支援の情報やアドバイスをもらえたのが、今のサービス利用につながっています。
 1年後には私も復職する予定です。あと1年─ 3人の育児はとても大変ですけれども、今しか味わうことのできないかけがえのない時間を精いっぱい楽しみながら、これからの家族の幸せなあり方についても、少しずつ考えを巡らせていきたいと思います。

Profile

大森 侑子(おおもり ゆうこ)さん

茨城県笠間市出身・1984年12月4日生まれ
小学校教員・育児休暇取得中

大森 侑子さん

インタビュー04

家族並んで座っている

昔ながらの絆が残る内原地区。
地域との関わりを大切にしながら、
子どもの特性を生かした土壌づくりを。

籾山 旭太さん(内原町在住)
[長女11歳・長男7歳]

 私は、水戸市内原にある日本農業実践学園の園長を務めています。日本農業実践学園は、実践的な農園経営を教える専門学校です。広大な敷地内で学生たちに農業に関する技術や知識を提供することを目的としています。

子供たちと猫が自宅のこたつでのんびりする
ホットプレートで餃子を焼く

上)冬の籾山家のリビング。子どもたちも猫もこたつが大好き。下)籾山家のある日の夕ご飯。奥様の実家、新潟から届いた餃子を前にして。この日の焼き当番は旭太さん。

 神奈川県藤沢市で生まれ育った私は、学生時代、野生動物写真家の星野道夫さんや冒険家の植村直己さんの本などを読み漁り、自分が打ち込める目標を求め日本各地を旅して歩いていました。その中で、少し人の手が入ることで保たれる里山の在り方に魅力を感じ、それを支える農業を目指すようになりました。東京農業大学を卒業後、もっと実践的な経験がしたくて、日本農業実践学園に入学しました。卒業後は縁あってそこで働き、その後指導を行う立場となりました。今は、大学時代に知り合った新潟県長岡市出身の妻と、2人の子どもたちと一緒に、学園の敷地内にある家に住んでいます。家のすぐ横には田んぼが広がり、ちょっと歩くと酪農の施設がある環境ですから、とてものどかです。
 妻も僕も実家が県外なので、子育ては基本的に2人で行っています。近くに頼れる身内がいないことは、それなりに大変でした。一日中子どもたちと一緒にいるということは大変で、愛情があってもストレスに感じることも多い。下の子が1歳になったときに妻は隣接する笠間市で働き始め、保育園を利用し始めました。
 水戸に住んで20年近くなりますが、とても住みやすいと実感しています。自然は多いし、内原地区には大きなショッピングモールもあるので、休みの日には子どもたちと自転車に乗ってそこまで出かけることもよくあります。水戸の人たちは、基本的に裏・表のない人が多いと感じます。市外や県外から来た人に対して排他的という印象を持ったことは一度もないですね。それは私たちが子育てをするうえでもありがたいことです。
 僕は今、地域に根差す学校の学園長という立場なので、自治会とか子ども会とかの役員を任されることが多いです。そういう場で出会う内原地区の大人たちが、とても気持ちのいい人たちなんです。子どもたちにも気さくに声をかけてくれるし、「何かあればいつでも頼って」と、さりげなく見守ってくれる。

お地蔵様と手をあわせる子供たち
日本農業実践学園のスタッフの集合写真

上)夫婦ともに県外出身者のため、休日には家族そろって積極的に水戸観光に出かける。この日は保和苑のお地蔵様(ぴんころ地蔵)と一緒に記念撮影。下)籾山さんが学園長を務める「日本農業実践学園」スタッフの皆さんと。

 ただ、内原地区でも共働きの家庭が増えているので、自治会などに入らない人も増え、そういう場に参加する人が減ってきていることはとても残念です。確かに自治会に入らなくても、今はインターネットで必要な暮らしの情報は入手できるのですが、一方で、地域を支えてきた良心、絆のようなものがここ内原地区には根付いているので、それに触れることは子どもにとって貴重な体験になります。今の僕の立場をうまく活用しながら地域の多世代間の交流を少しでも促すようにできたらと思いますね。
 子育ては、こちら側の意志を押し付けないことが一番だと思っています。農業と同じように、その子の特性をきちんと見つめて、それに合わせた土壌や肥料を用意することが親の役目で、そのことがより健康に、より大きく育つことにつながるのだと思っています。

Profile

籾山旭太(もみやま あきた)さん

神奈川県藤沢市出身・1980年11月19日生まれ
日本農業実践学園 学園長

籾山旭太さん

インタビュー05

ブロックのおもちゃで遊ぶ子供を見守る

子育ては、「いい(良い)加減」が肝心。
悩みを話すと、皆さん安心して笑顔になる。
親が笑うと、子どもも笑顔になりますよ。

青野 朱実さん
[わんぱーく・みと勤務・保健師]

 私が勤務する「わんぱーく・みと」は、正式名称を「水戸市大町子育て支援・多世代交流センター〈わんぱーく・みと〉」と言います。その名の通り、乳幼児を中心にさまざまな世代の方が気軽に集える場となっています。

子供たちをおもちゃで遊ぶ
施設のスタッフの話し合い

上)施設を利用する子どもたちと遊びながら、保護者の様子も観察してさりげなく声をかける。下)スタッフ間の情報共有も重要。悩みを持つ方への細やかな対応を全員で心がける。

 施設には保育士が常駐し、おもちゃや授乳室なども完備されている空間の中で、会話を交わしたり一緒に遊んだりすることで、世代を越えて子育ての情報交換や悩み相談などができます。私自身が子育てをしていたころは、このような施設はなかったので、まちの真ん中に「わんぱーく・みと」があることは、いろいろな世代にとって利用しやすく、水戸の魅力のひとつになっていると思います。

 利用者は0、1、2歳児を連れたお母さんが多いですね。相談は予約もできますが、当日でも声をかけていただければ大丈夫です。遊んでいる親子の様子を見て私から声をかけることもあります。子育てに「大変で怖い、不安」というイメージを抱くこともあると思いますが、子どもは可愛くて癒される存在で、「子育ては楽しいよ」ということを、これから子どもを持ちたいという夫婦や若い世代の方にも伝えていきたいと思います。

 ここに相談に来るお母さんたちは、真面目な方が多く、マニュアル通りに、きちんと子育てしなければならないという意識が強いと感じます。ネットなどで調べた情報に振り回されないで、子どももお母さんも一人一人違うので「自分の子どもはどういう子なのかな。とよく観察して、あなたのお子さんとお母さんにあったやり方を一緒に考えましょう」と提案しています。その言葉で安心してくださる方も多いように感じています。
 「わんぱーく・みと」では、初めての育児をしているお母さんたちの交流の場として、毎月「ママトーク」を少人数制で開催しています。日ごろ一人で心配していたことも「みんなそうなんだ」と安心したり、愚痴や不満なども吐き出して談笑している姿をみていると、子育てもお母さんたちの居場所や仲間づくりが大切なのだと実感しています。

 市保健センターに勤めていたころに、中学校の授業の一環として、「生徒と赤ちゃんのふれあい学習体験」を立ち上げました。生徒にとって赤ちゃんと接する機会なんてほとんどないでしょうし、反対に、お母さん方も年ごろの子たちと触れ合うことが少ない中、お互いに良い体験になると思いました。生徒からは、子育ての喜びや命の尊さ、家族への感謝の気持ちなど子育てに対する前向きな感想がたくさん聞かれました。多世代交流が、母親の上の世代だけでなく、将来親になっていく若い世代にも波及したという実感がありました。中学生のときに授業を体験し、その後母親になって参加してくれた方がいて、「学生のときのこの体験が楽しくて、自分も親になったときにぜひ母校で参加したかった。自分の子育てを後輩に教えることができて嬉しい。」とお話してくださり、事業のやりがいを感じました。こうした多世代が交流できる機会を今後もつくっていけたらと思います。
 育児の相談の中で疲れていたり、育児に行き詰まりを感じているお母さんには、「一時預かり保育」の利用をお勧めしていますが、「子どもの面倒をみなければならない立場なのに預けるのは気がひける」と自分を責める気持ちを持ってしまう方もいます。親にもリフレッシュが必要です。もっと気楽に利用していただきたいと思います。
 親にとって子どもの笑顔が一番。子育てに正解はないのだから、もっと親自身が楽しめる方法を見つけて子育てに自信を持ってほしいです。
 子育ては「いい(良い)加減」で大丈夫。今ひとつできなくても「まっ!いいか」の精神で。少しでも何か気になることがあれば一人で悩まずに気軽に相談してほしいですね。
 悩んでいたお母さんが笑顔になる、子どもの成長だけでなく親の成長も見られることがなによりも嬉しいし、楽しいです。

Profile

青野 朱実(あおの あけみ)さん

水戸市に保健師として約36年勤務、退職後、水戸市子育て支援・多世代交流センター「わんぱーく・みと」に育児相談担当の保健師として勤務。

青野 朱実さん

座談会

特別企画

水戸の子育ての魅力と
これからの子育てを考える座談会

参加者|宮﨑 広恵さん、籾山 旭太さん・千鶴さん夫妻
ファシリテーター|山﨑 一希さん

 MITONOTE 子育て特集の特別企画として、県外出身の3人を迎えての座談会を行いました。ファシリーテーターを務めたのは、大学広報の仕事をする傍ら、教育と広報に関するNPO法人を自ら立ち上げ、多様な側面から地域社会における魅力ある教育の場づくりに取り組む山﨑一希氏。自身も2人の子どもの父親である山﨑氏の進行で、県外からの移住者である宮﨑広恵さんと籾山旭太さん・千鶴さん夫妻の3人が、それぞれの視点でとらえた水戸市の子育て環境の魅力や課題、そして子育てにおける地域社会との関わり方などについて、率直な意見を交わしました。

椅子に座って複数人が話し合う

身近な自然と充実した小児医療環境

—お三方とも県外のご出身なのですね。まず、子育てをする環境としての「水戸のよいところ」を教えていただけますか。

宮﨑広恵:私にとっては、身近な自然があるところですね。すごく深い自然ではないけれども、小さい子と一緒に楽しめる自然が近くに広がっている。そういう環境で子育てができるのは素晴らしいことだと思っています。

籾山旭太:僕は都会で生まれ育ったのですが、米づくりの研究のために新潟の限界集落のような地域で暮らしたこともあります。水戸の環境は、ちょうどその中間という印象ですね。一定程度の自然があって、人間関係もほのぼのとしたところがあり、行政サービスも整っていて、バランスがとれていると感じます。

籾山千鶴:私は、水戸市は情報発信が上手だなと思っています。市の公式LINEに登録すると、自分に合った情報を受け取ることができます。特に子どもが小さいときは、その仕組みがありがたかったですね。

ジェスチャーをもちいて話す

— 私も子を持つ親として付け加えさせてもらうと、市内に公立図書館が7館(県立図書館1館、市立図書館6館)もあることは恵まれていると感じます。それと、水戸市は人口10万人当たりの小児科医の数が全国平均を上回っています。子どもが小さいと熱を出すことが多いので親としてはとても助かりますよね。県立こども病院という大きな専門病院もありますね。

籾山千鶴:県立こども病院には、うちも2回ほどお世話になりました。子どもの病気は一般の病院では診察を断られることもあるので、子ども専門の病院が近くにあることは本当に助かるし、暮らしの中の安心感につながっています。

微笑みながらお互いの話を聞く

大人も楽しめる場づくりが大切

— 今日ご参加の皆さんは、普段から自然にふれる機会が多いかと思いますが。

籾山旭太:私が勤務する学園で、一般の方向けに開催する農業体験に、自分の子どもたちを参加させることはあります。大事なことは、あまり力まずに、さりげなく「『日常』として体験させること」だと思っています。力むとどうしても非日常になってしまいますから。

宮﨑広恵:それは大人にとっても同じですよね。子どもが小さいときは、近くに出かけるにしても、親のほうが力んでしまうことがよくあります。準備に疲れて、結局出かけられなかったり…。あと、さまざまな子育て支援サービスがありますが、事前申込制のものが多い印象です。もう少し気軽に、日常的にふらっと立ち寄れるような形になるといいなと思います。

— 確かに、大人の側が「子どものため」と意気込みすぎてしまうところはあるかもしれません。

宮﨑広恵:その力みをなくすには、安心感が大事です。行く先々に小さい子を安心して連れていける設備、例えば、お手洗いにオムツ交換台があれば、断然出かけやすくなります。新しい施設には整備されていることが多いですが、水戸市森林公園などの昔からある施設にも整備されれば、乳幼児も連れて行きやすくなると思うんです。

籾山旭太:僕が最近よく思うのは、参加する大人たちが楽しめる場だと、子どもたちもより楽しめるということです。場を大人向けに準備して、そこに子どもも一緒に来られるというのが、子どもがもっとも楽しめる形だと実感しています。

宮﨑広恵:私もまったく同感です。森の中の活動でも大人たちが主体的に笑顔で楽しむ環境こそが、子どもに笑顔をもたらしますね。

— なるほど。子育てしやすいまちづくりには「子どもの遊び場」より、「大人が子ども連れで遊べる場」が重要だということですね。

多様な価値観を醸成する多世代交流

— 地域との関係についてはどう考えていますか。今、全国的に町内会・自治会への加入者が減り、存在意義が問い直されている状況にあります。

籾山千鶴:今、若い世代の皆さんは夫婦で仕事をしていることが多く、生活が慌ただしくて、地域に目を向けることがなかなか難しいように感じます。うちの場合、夫が1年前から自治会の会長を務めているので、私も子どもたちと会の行事に参加する機会が増えました。そこで地域のおじいちゃん、おばあちゃんの話を聞くのはとても勉強になりますし、子どもたちがいろいろなことを吸収する機会になっています。もう少し地域で世代間のつながりができるような仕組みがあると良いなと思いますね。

二人に向かって話す

籾山旭太:町内会・自治会の活動って、外から見ると少し面倒くさい感じがありますよね。でも、地域に住む人たちとの関係をつくることが、自分たちにもたらすものは少なくないと感じます。今朝も「クリーン作戦」に参加してきたのですが、実際にみんなで会話しながらゴミ拾いをすると、とても清々しい気分になるんですよ。町内会・自治会に入ったら役割を果たさなければならないという、過剰な責任感が先行してしまっているのが残念ですね。

— 会の目的や成果よりも、役を担当することの負担を強く感じている方が多いという現状はありますよね。

籾山旭太:今後の日本社会のことを考えると、地域の高齢者が元気でいることが、その地域の実力になると思うんですよね。子育てをするうえでも、そういった人たちとの関わりが、多様な価値観を子どもたちに示し、それぞれの個性を許容することにつながると思います。元気な高齢者のエネルギーを、うまく若い世代のニーズとかみあわせていくことができれば良いですね。

インタビューを受けた4人が並んで立つ

宮﨑広恵:うちは今は町内会・自治会に入っていないのですが、お話を聞いてちょっと検討してみようと思いました。私自身も、多様な価値観の中で子育てをすることの重要性を感じています。例えば、うちでは毎週末、私の職場である茨城町のキャンプ場に子どもを連れて行くのですが、そこで出会う個性的で自由なキャンパーの方々と、子どもたちは思いのままコミュニケーションをとって新しいことをどんどん吸収しています。そういう環境で育つ子どもたちはとても幸せだなと思いますし、シンプルなことですけれど、子育てにやさしい環境とは、「子どもの笑顔、大人の笑顔があふれる場」だと実感します。

— 気軽に多世代が参加できる子育て支援サービスがもっと増えていくといいですね。私たち市民の側も、地域との関わり、世代間の交流に意識を向けることが、「子育てしやすいまちづくりにつながっていく」のだと感じました。 今日は貴重なお話をありがとうございました。

山﨑 一希さん

Facilitator

山﨑 一希(やまざき かずき)さん

茨城県常陸大宮市出身・茨城大学広報室主幹専門職。水戸市内の高校を卒業後、県外の大学へ進学。水戸市のラジオ放送局、東京都内のPR会社を経て、現職。また、自身のライフワークとしてNPO法人を立ち上げるなど、コミュニケーションを通じた教育の実践に取り組んでいる。

子育て支援情報

水戸での子育てを楽しもう!

水戸に住む人たちのイラスト

マンガで読む
水戸の子育て

食の豊かさ編

水戸の特産物を使用した給食に関する4コマ漫画

子育てのしやすさ編

水戸では子育ての環境が整っていることを伝える4コマ漫画

進むデジタル化編

デジタルで子育てを支援する4コマ漫画
こども育つまち・水戸

気軽に遊ぼう!

水戸市内にある33か所の市民センターで、子どもや保護者が気軽に集い、交流できる遊び場「子育て広場」を開設しています。

https://www.city.mito.lg.jp/page/3298.html https://www.city.mito.lg.jp/site/kosodate/34968.html
子供が遊ぶ様子を見守るイラスト

食べる学び!「MITOごはん」の日

市立小中学校・義務教育学校の給食では、水戸市産の食材を使用した献立を提供する「MITOごはん」の日を毎月2回以上設けています。納豆や「水戸の柔甘ねぎ」などが登場します。

給食のイラスト

市立図書館が6館も!

水戸市内には、6館もの市立図書館があり、日常生活に便利な場所に設置されています。さまざまなニーズに対応できるよう、館ごとに蔵書や施設に特色があります。

女の子が勉強しているイラスト

休日夜間も安心!休日夜間緊急診療所

水戸市では、休日や夜間に急な病気になったときやケガをしたときに受診できる診療所を開設しています。受診の際は、必ず事前に電話で相談してください。

https://www.city.mito.lg.jp/site/holidaymedicalcare/

医者が診療するイラスト

頼れる存在!茨城県立こども病院

水戸市内にある茨城県立こども病院は、茨城県における小児医療の中核的な役割を担う唯一の小児専門病院です。小児救急拠点病院として、紹介患者や救急車の受け入れを担っています。

https://www.ibaraki-kodomo.com/ich/

便利な「みとっこ子育て応援アプリ」!

子育てに関する情報を受け取ることができるのはもちろん、子どもの成長を記録することもできる便利なアプリです。

https://mito.city-hc.jp/l/EbiuSA https://mito.city-hc.jp/l/QeKr2O
スマホでアプリをつかうイラスト

MITONOTE 2023年3月発行