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水戸葵陵高校書道部
水戸葵陵高校書道部
書道パフォーマンス甲子園に7回連続で出場し、令和7年には初優勝という成績を収めた、水戸葵陵高校書道部。全国高等学校総合文化祭で文化長官賞を受賞するなど、数多くの実績を残しています。
令和8年3月現在の部員数は、1・2年生あわせて18名。部活動として週2回活動するほか、部員それぞれ毎日の自主練習で腕を磨いています。
悲願の書道パフォーマンス甲子園初優勝
令和7年7月27日、愛媛県四国中央市で開催された第18回書道パフォーマンス甲子園において、熱量の高いパフォーマンスを披露し、優勝・文部科学大臣賞を受賞しました。
この「書道パフォーマンス甲子園」は、平成13年頃に、愛媛県内の高校生たちが町おこしの一環として、文化祭や地域のイベントで大きな紙に曲に合わせて歌詞を揮毫するパフォーマンスをしたことが始まりだそう。地元の「四国中央紙まつり」のイベントの一つとして、平成20年に「第1回書道パフォーマンス甲子園」が開催されました。第1回大会のときは参加学校数3校だったものが、この大会をモデルとした映画が公開されると人気に火がつき、平成22年の第3回大会では参加学校数が18校に急増。今や、全国から100校を超える応募がある大会になったそうです。
白熱する関東ブロック予選を勝ち抜けた水戸葵陵高校書道部。終戦から80年を迎えたこの年、「いのちの尊厳」をテーマにパフォーマンスを披露しました。さだまさし「防人の詩」とMrs. GREEN APPLE「Soranji」などに合わせて、手話や台詞、ダンスを組み合わせつつ、筆を巧みに操り紙面に色とりどりの文字を乗せていきました。

写真は地域のイベントでのパフォーマンス(同部SNSより)。書道パフォーマンス甲子園でも同じテーマで披露。
書道パフォーマンスに魅せられて
小学2年生の頃から習字教室に通っていたという前部長の根本栞恩さん。
商業施設で先輩方がパフォーマンスをしているところを見て、今まで自分がやってきた、じっと座って静かに書くものと全然違ったことに衝撃を受けたことがきっかけでした。
部員のほとんどが、各地のイベントで行われる先輩たちのパフォーマンスを見て水戸葵陵高校書道部への入部を希望して進学してくるそう。
現部長の佐原叶歩さんもその一人。
中学生のときに学校見学で見かけて、実際のパフォーマンスを県外まで見に行きました。
小学1年生から習字を始めた佐原さんもまた、それまでと違った書の世界に魅了されたのです。
写真左が現部長の佐原叶歩さん、右が前部長の根本栞恩さん。
年間をとおして地域のイベントに出向きパフォーマンス書道を披露している同部。
地域性を大事にしながら、大子町のイベントなら大子出身の子を、常陸太田市のイベントなら常陸太田市出身の子を出演させるようにして、なるべく多くの部員にパフォーマンスの機会を与えています。
と、顧問の辻敬齋先生は言います。生徒たちの経験値が高まる一方で、次世代の子たちの心に新たな挑戦心が芽生えます。
「挑戦」「連覇」を胸に
前年に準優勝として初めて表彰台に立ちました。そのときの気持ちをばねにして、どうしても欲しかった優勝を2025年にとることができてよかったです。チームワークは人生の財産になりました。人の数だけ芸術があって、出会いの数だけ分かり合えたり、美しいと思えることが増えたりすると思います。
と根本さんは当時を振り返ります。次の世代に思いを引き継いだ根本さんは、卒業とともに一旦筆を置き、新たな道に進むそう。
写真は、書道パフォーマンス甲子園を前に、高橋靖市長を表敬訪問し意気込みを語る根本さん。
前年に優勝したことはプレッシャーでもあります。ただ、私たちは優勝するために活動するのではなく、見てくださる方に伝えたいことを伝えられるパフォーマンスをした先に優勝があると思うので、連覇も目指すところではありますが、挑戦し続けることが大事だと思っています。
そう佐原さんは語ってくれました。穏やかな口調ながら、感動を与えたいという熱い思いが伝わってきます。

令和7年9月、優勝報告で再び水戸市役所を訪れた皆さん。
完璧な紙面を目指して
さまざまな機会で経験を積みつつ、夏の書道パフォーマンス甲子園に向け、前回大会の終了後すぐに次回大会への準備へ。部員同士で話し合い、テーマを決め、音楽を決め、そして文字を決める―。全体の構成を決め、冬にはダンスの練習も開始します。ダンスに関しては外部コーチの指導のもと、動きを確認したり相談したりしながら練習していきます。
大きな紙に書く日は限られており、普段は書道室でそれぞれが新聞紙を使って練習。古典の臨書(元となる作品をまねて同じように書くこと)にも挑戦しながら、さまざまな書法を学んでいます。
“葵陵スタイル”で積み上げる
流行もあるけれど、それだけでは上位に居続けられない。王道も大事。ただ踊る、書く、ではなくて、書道としての技術も高い完璧な紙面、曲やダンスとの調和。こうした“葵陵スタイル”を大事にしています。
と辻先生。飽きられないように、と観衆の視点も忘れません。
辻先生が筆を一緒に持つことも。筆の動きを丁寧に指導します。
身体全体を使って筆を動かします。練習でも息をのむような迫力。大胆で力強い筆の運び、かすれまでも美しい紙面ができあがっていきます。
日々の鍛錬に裏打ちされた高い技術はもちろんのこと、辻先生の信念と部員の皆さんの熱い思いが重なり合って紡ぎ出される、流行と王道の両方を備えたパフォーマンスに、今後も注目です。


