水戸の匠(たくみ)【みとに出会う、みとで出会うvol.12】

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最終更新日:2013年3月4日 ページID:012213

3月1日号 水戸の匠ー久野 伸二さん(水戸芸術館 舞台監督)

 私たちが演劇やコンサートを見に行った時に目にしているのは、いわば舞台の「表」。その完成された舞台を「裏」から支えているのが、舞台技術に携わる皆さんだ。

 舞台技術の仕事とは、照明や音響、美術などで、演出家のイメージを具現化することだという。例えば、台本に「雨が降る」とあった場合、実際に水が使えないときには、光や音などのテクニックを使い「雨」を感じさせることができないか、と考えるのだ。

 その中で、演出家はもちろん、照明、音響、美術など各担当者と調整したり、取りまとめたりするのが、舞台監督である久野(くの)伸二さんだ。稽古(けいこ)に必要なさまざまな物を調達し、道具類の搬入経路を検討し、スタッフともコミュニケーションをとり…と実に幅広い役割をこなしていく。特に気を配るのが、出演する役者や、スタッフ、観客など、舞台に関わる人々の安全。大道具が倒れてこないか、暗闇の中で移動できるかなど、細心の注意を払う。

 久野さんの中には、たくさんの引き出しがある。「合唱の発表をしたい」。言葉にするとたった一言なのだが、ステージに上がる人たちが違和感なく演じられるようにするためには、合唱に必要なピアノの用意、その位置、椅子や譜面台の数や角度、配置…と考えることが山ほどある。多種多様な舞台で30年以上積重ねてきた経験と知識から、久野さんはその時に必要なことを次々と引出していく。たとえ実現が難しいことも、他のスタッフたちとアイディアを出し合い、最大限の工夫をする。「任せて安心だ、と感じてもらえるのは、うれしい」と久野さんは言う。

 体力的に厳しい時や、調整に難航するような問題などもあるが、多くの人と協力して一つの舞台をつくり上げる達成感、一体感は「やみつき」。これからも舞台に関わる仕事をしていきたいと思っている。「いつか、自分が関わった舞台を、客席からゆっくりと見てみたい」と言う久野さんだが、まだまだその日は来そうにない。

スタッフで打ち合わせをしている写真 写真1

舞台で譜面台を設置している久野さんの写真 写真2 

 写真: 1.スタッフで打ち合わせ/2.久野さん。道具の位置や角度も重要 

(「広報みと」平成25年3月1日号掲載)

舞台技術という仕事

 舞台を作るときは、専門分野や担当する部分はもちろんありますが、全体のチームワークで「良い舞台の完成」という一つの目標に向かいます。
 その中で、舞台技術は、舞台の「表」を支える、いわゆる「裏方」の仕事。久野さんからも、取材中何度も「裏方」という言葉が出てきました。久野さんは、「舞台技術の仕事が、数ある職業の中のひとつの選択肢として、もっと認識されると良い」と考えているそうです。
 最近では、舞台技術のことを知りたい、と見学にくる学生の方も増えているとのことで、久野さんは「何事にも、『これはどうなんているんだろう、どんな仕組みになっているんだろう』と興味を持つことが大切だ、と伝えています」と話してくれました。

  観客である私たちも、舞台のステージの上で見えているものだけでなく、それを支える裏方の仕事のことをイメージしながら見てみると、また違った楽しさ、おもしろさがあるかもしれません。

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