みとの水脈(10) 沼野井春雄(生物学者)

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最終更新日:2010年2月1日 ページID:005791

水戸の自然に遊び、生き物を愛した 沼野井春雄

参考図書:『北の科学者群像』

那珂川や千波湖など、水豊かなこの水戸で子どものころ魚釣りに明け暮れ、それがきっかけで生物学を学び、その知識を生かした魚釣りの本を書いた人がいます。

沼野井春雄は明治39年3月31日、水戸市に生まれました。東京帝国大学動物学科を卒業後、すぐに旧制浦和高等学校で教鞭をとり、教員を続けながら東大大学院に通い、研究を続けました。専門は動物生理学や生理化学で、生体内でのカルシウムの作用や甲殻類の脱皮について論文を次々と発表しました。その成果の一端は札幌の北方出版社発行の「理学モノグラフ」シリーズの一冊『生体とカルシゥム』(昭和23年)に見ることができます。このシリーズは北海道大学の研究者が執筆の中心ですが、沼野井が恩師と慕う北海道大学の内田亨の推薦により執筆されました。

沼野井は昭和24年に東京大学理学部教授に転じ、定年後は、早稲田大学教育学部で新たに創設された理学科生物学専修の中心として活躍しました。年配の方で少しでも沼野井春雄の名前に覚えのある方がいるとすれば、高校教科書や受験参考書の執筆者としてです。特に、沼野井の執筆した旺文社発行の受験参考書『生物の研究』は、生物界の事柄が詳しく体系的に扱われていて大変面白く、後に生物学を志すきっかけになったという研究者が数多くいます。

沼野井が書いた釣りの本は『釣り人の知りたい魚たちの超能力』(つり人社、昭和51年発行)。その釣りは生物学の知識に基づいた「論理に基づく釣り」です。つまり、狙った魚を釣り上げるために、魚の「性質  とくに彼らの感覚の働きを十分に知った上で」対策を立てるべきで、「魚をだまし討ちにするような卑怯な釣り」をしてはならないというのです。それはまさに、子どものころから持ち続けた魚釣りへの興味の集大成といえるものでした。

(中央図書館司書 坂部豪)

参考図書:『北の科学者群像』杉山滋郎著 北海道大学図書刊行会

(補足)この記事は、「広報みと」平成22年2月1日号に掲載したものです。

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